[PR]

 埼玉県深谷市の利根川で昨年11月、親子3人が車で入水し、認知症の母と体が不自由な父が死亡した無理心中事件で、母への殺人罪と父の自殺を幇助(ほうじょ)した罪に問われた三女の無職波方(なみかた)敦子被告(47)=同市稲荷町北=の裁判員裁判の初公判が20日、さいたま地裁(松原里美裁判長)であった。被告は起訴内容を認め、生活保護の受給に向けて市の調査を受けた際に「惨めになって死にたい気持ちが高まった」と述べた。

 冒頭陳述によると、波方被告は病気で動けなくなった父の藤田慶秀(よしひで)さん(当時74)から事件の3日前に「あっちゃん、一緒に死んでくれるか」と母ヨキさん(同81)との心中を持ちかけられたとされる。

 波方被告は被告人質問で、その翌日、かねて相談していた生活保護の受給に向け、市職員と自宅で面接した際、家族状況や職を転々としてきた自らの生い立ちを話したことで死のうとする気持ちが強まったと説明。生活保護で「お金の面は何とかなる」と考えていたが、父の病状悪化で悲観的になったと供述し、「母だけ残しても可哀想だし、家族一緒じゃないと意味がないと父に言われた。一人生き残って申し訳ない」と述べた。

 検察側は「嫌がる母をおぼれさせるなど、犯行に主体的に関与した」と指摘。弁護側は「(新聞配達をして生計を支えるなど)頼りにしていた父の病気が悪化し、3人のバランスが崩れてしまった」などとして執行猶予付きの判決が相当と訴えた。

 波方被告は昨年11月21日夜、車で利根川に入り、車内から川に連れ出した母をおぼれさせ殺害。父の自殺を手助けしたとされる。(金子智彦)