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 熊本地震の被害を受けた熊本県内の自治体で、過労や仕事の重圧などから休職する職員が出始めている。熊本市が職員を対象に精神衛生に関するアンケートをしたところ、回答者の1割強にうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の可能性があり、産業医との面談を始めた。職員の心のケアが急務となっている。

 1千棟以上の家屋が損壊した県内の15市町村に朝日新聞が取材した。

 約2千棟が全半壊した御船(みふね)町では5月末、職員2人が「仕事上のストレス」を理由に休職に入った。町によると、罹災(りさい)証明書の関連業務や、町外から応援に来た自治体職員への仕事の割り振りに忙殺されたことなどが原因とみられる。町は全職員を対象に、アンケートと産業医によるカウンセリングを始めた。

 熊本市のアンケートは5~6月、一般職員や嘱託職員ら約1万人を対象に「地震に関する不快な夢を、見ることがありますか」「憂鬱(ゆううつ)で気分が沈みがちですか」など12項目を尋ねた。回答者4134人のうち504人にうつ病やPTSDの可能性があると判断された。該当した職員は産業医や保健師が面談している。自由回答には「周囲が頑張るから休みを言い出せない」といった意見もあった。

 地震で庁舎が使えなくなった八代市では5月、職員2人が精神的な疲労を上司に訴えた。市は今月初めから、専用サイトでストレスの定期自己診断を始め、希望に応じて産業医と相談する機会を設ける。

 大津町は5月初めから、「週1回は休む」ことを申し合わせた。家屋の6割が全半壊した西原村は、職員の心のケアに手が回っていないという。

 県も5月に臨時職員らを除く約5千人の職員を対象にアンケートをし、地震後のストレスも尋ねた。約7割の3480人から回答があり、集計を進めている。

 県精神保健福祉センター(熊本市)の矢田部裕介次長は「災害時は担当する職務の境があいまいになりやすく、過重労働になる。震源に近い小規模自治体の職員はうつ病のリスクが高い。職務の範囲を確認する作業が大切」と指摘する。(池田拓哉)