[PR]

「こういう病気は、一番気づくのが遅れるのは家族なんよ」

(義母の親しい友人の言葉)

 3年前、義父に腫瘍(しゅよう)が見つかったのを機に訪れた夫の実家。そこで義母の異変に気づきました。すぐにアルツハイマー型認知症と診断されました。

 義父は3カ月後に他界し、それ以来、義母は施設で暮らしています。あっという間に施設の暮らしに慣れ、かつ「自分が病気であることを隠す能力」を保って穏やかに暮らしています。

 ですが、実は何年も前から親しい人には異変を悟られていたようです。

 義母が何年も通っていた太極拳のクラスでのお友だちに、Aさんという方がいます。昇段講習会や大会にもご一緒してもらっていたそうです。

 認知症の服薬を始めた義母が太極拳を再開したとき、私が病状を打ち明けてごあいさつすると、Aさんは「実はだいぶ前からおかあさん、待ち合わせした時間や場所が入らなくなってきてたよ」と話してくれました。私たちが初めて知る事実もいくつがありました。

 Aさんは今年81歳になった義母よりだいぶお若く、太極拳以外の趣味やボランティア活動などをされていつもアクティブ。それも、自身のご主人を長く介護しながら、ということでした。

 そんなAさんが「こういう病気は、一番気づくのが遅れるのは家族なんよ」と、おっしゃった言葉が印象に残っています。「まさか」と信じたくない、認めたくない気持ちが先に立つのでしょうか。うちは主人が医師で一人っ子。同じ府内に住んでいながら、息子が大きくなってからはさほど積極的には顔を出さず、何年も義母の異変に気づいてやれませんでした。義父・義母とも元気で暮らしてくれていると信じていたのに……。ともすれば自分たちを責めがちだったその頃の私たちを慰めてくださったAさん。もっともっと義母のことをお聞きしたかったのですが、昨年亡くなったご主人の後を追うように、この春急逝されてしまいました。

 義母は、いろんなことを覚えていられなかったり忘れてしまったりするのですが、Aさんの死に関しては今でも「Aさん、かわいそうにもうあの世に行きはったもんな」とさらりと言います。

 幸運にも施設で不自由なく暮らしている義母を「介護している」というのはおこがましいですが、ちょっと可笑(おか)しい不思議な「日常」を少しずつ個人ブログ(【Magical Mystery Mother~義母、アルツハイマー型認知症になる~】 http://blog.livedoor.jp/goodcourse-magicalmysterhmother/別ウインドウで開きます )にアップしています。

 「介護あるある」はやはり経験者、体験者にしかわからないもの。自分の頭の中も、その都度吐き出して整理して、できるだけ明るく前に進んでいけたらと思っています。

◆大阪府 るっこら 58歳

     ◇

 あなたにとっての介護の記憶を、ぜひお聞かせください。ご投稿いただく際は、お名前とご連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)をご明記のうえ、メールでお送りください。文字数の制限や締め切りはありません。匿名をご希望の方は、その旨をお書き添えください。掲載にあたり、ご投稿について記者がお話をお聞きする場合があります。

 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

 kaigotoukou@asahi.comメールする