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 コンクリート壁に土囊(どのう)を積み上げた前線拠点の前方約800メートル。隊員が構える銃口の先に、建物が破壊された村があった。軍用望遠鏡でのぞく。過激派組織「イスラム国」(IS)が使う黒い旗が見えたが、人影はない。村からの攻撃もなかった。

 「国家樹立」宣言から29日で2年。朝日新聞記者は22日、イラク北部でIS掃討を進めるクルド地域政府の治安部隊ペシュメルガの前線拠点を取材した。米軍主導の有志連合による空爆などで、ISは一時の勢いを失っていた。

《取材はクルド地域政府の許可を得た。ペシュメルガの部隊が記者に同行したが、記事への検閲はなかった。記者はIS支配地域には入っていない》

     ◇

 22日、ペシュメルガ司令部がある北部マフムールから西10キロの前線拠点を訪れた。気温40度を超す炎天下、隊員が双眼鏡を握りしめている。拠点の前方約800メートルにISが支配する村があった。

 「ボーン」。爆発音が響き、村の数キロ先で黒煙が上がった。米軍主導の有志連合による空爆だ。ペシュメルガ前線部隊のバデルハン・ムスタファ隊長(50)は「ISはこの半年ですごく弱まった」という。

 ただ、危険が去ったわけではない。IS戦闘員がトンネルを掘って拠点に近づき、自爆攻撃を企てるケースが続いている。この拠点には2カ月前に迫撃砲弾が撃ち込まれ、隊員2人が死亡した。「ISは化学兵器のマスタードガスを詰めた砲弾も使った」。戦闘を指揮するスルド・バルザンジ氏(44)はその残骸とされるものを見せた。

 周囲の草原地帯には地元部族の村がある。この拠点からイラク・クルド地区の中心都市アルビルまでは直線距離で50キロ。撤退は許されない。「国を守りたい一心で戦ってきた」とバルザンジ氏は胸を張った。

 6月中旬、この拠点から数キロ…

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