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 精子の先端部分が正常に育つために必要なたんぱく質を特定した、と筑波大や大阪大、理研などのチームが発表した。このたんぱく質がないと受精成功率が極端に落ちることをマウスの実験で確認。男性不妊につながる奇形精子症の原因解明や、生殖補助医療を効率化する診断技術への応用などが期待できるという。米科学アカデミー紀要電子版に論文が掲載された。

 チームは、哺乳動物の精子の先端にある、受精時にたんぱく質分解酵素を放出して卵子との融合を容易にする「アクロソーム」という袋状の部分に着目。中に含まれるACRBPというたんぱく質を作れないよう遺伝子操作したオスのマウスでは、精子の数は正常と変わらないのに、大半でアクロソームに奇形が見つかり、べん毛などの運動にも異常があった。受精成功率は10%以下と低かった。

 ただ、精子の頭部を針で卵子に直接送り込む顕微授精をすると、成功率は高まり、受精卵も正常に成長した。兼森芳紀・筑波大助教は「人でもACRBPの欠損による異常が精子の運動性低下を引き起こしている可能性がある。将来的に、男性不妊の治療法を選ぶ遺伝子診断などに応用できるかもしれない」と話す。(吉田晋)