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第8章:4

 強制わいせつ致傷罪などが問われた裁判で、裁判員に選ばれた徳島県小松島市在住の公務員、青山翔一さん(39、仮名)は、暗澹(あんたん)たる思いに襲われた。

 午後から徳島地方裁判所で初公判があった2011年6月13日。犯行があまりにも女性を傷つける内容だったことに強いショックを受けた。被告を裁く立場の裁判員としての責任にも押しつぶされそうだった。

 心も足も重かった。人がたくさんいる電車には乗る気になれず、1時間も歩いて帰宅した。

 家では妻と3人の子どもが待っていた。食卓には手作りケーキが置かれていた。

 「おめでとう!」

 家族が、34歳の誕生日を祝ってくれた。

 ワイワイする気分ではなかった。でも、祝ってくれる妻や子どもたちの顔を見ると、そうは言っていられなかった。暗澹たる思いは胸の奥にしまい込み、家族との時間を過ごした。

 いま思うと、かえってそれがよかったのかもしれない。そうじゃなかったら、事件のことばかりを考え、気分が底なしに落ち込んでいたかもしれない。

 その日の初公判ではまず起訴状が朗読され、検察側、弁護側がそれぞれ冒頭陳述をした。

 それによると、被告の男性(事件当時29)は10年6月6日未明、徳島市内の市道で自転車に乗っていた女性(同18)の口をふさいで抱きかかえ、自分の車まで引きずって押し込み、「お前、どっか連れてったろうか」などと脅迫。暴行して、無理やり口の中に射精するなどし、全治10日のけがを負わせたという。また同年8月2日には、徳島市内の別の女性(同20)のアパートの部屋を訪ね、盗聴器の回収業者を装って侵入、「騒いだら刺すぞ」などと脅してベッドに押し倒すなどしたが、抵抗されて未遂に終わった。同20日には県内の女性(同28)の自宅前で、暴行を加えて、10日のけがを負わせたとされていた。

 検察官は女性と男性1人ずつの…

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