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第8章:5

 強制わいせつ致傷や強制わいせつ未遂などの罪に問われていた被告の男性(裁判当時30)は終始うつむいていた。裁判員を務めていた青山翔一さん(39、仮名)には、その表情は悲しそうに見えた。

 2011年6月13日午後から始まった徳島地方裁判所の法廷では、弁護側によって被告の生い立ちなどが語られた。

 被告は野球少年だった。高校時代も野球に打ち込み、父親の紹介で入った会社で野球をしていたが、肩を壊して挫折、02年に強姦(ごうかん)事件などを起こしたという。

 被告は法廷で「おやじが会社で寂しい思いをしている」と涙ぐんだ。さらに、「東日本大震災で苦しんでいる人がいる中で、オレは何をしているんだと思う。申し訳ないという気持ちです」などと話した。

 また、自宅前で暴行を加えた女性(事件当時28)は、服役していたときに支えてくれていた元恋人だった。「支援してくれていたのに、こんなことをして申し訳ない」と謝罪し、涙を流した。

 裁判員は被告に直接質問ができる。こんな機会はないので、質問したいと思った。でも、ちゅうちょする気持ちもあった。目が合うのが怖かったのだ。

 評議室で、犯行に至った経緯について、疑問点を口にした。被告は会社に戻る途中で犯行に及んだと主張していた。本当にそうなのか。女性を物色していたのではないのだろうか。そう思って、「被告は犯行後は仕事に戻ったんでしょうかね」と聞いてみた。

 すると裁判官も「私もそのことは聞きたいですね」と発言。その言葉に背中を押され、法廷で質問した。

 「あのあと、仕事に戻ったのですか?」

 しばらく間があって、被告はうつむいたまま、言った。

 「仕事に帰りま…

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