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 欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国の国民投票は、多くの移民が暮らす英国社会や、「連合王国」を形づくる4地域の間に深い亀裂を生んだ。英国の与党・保守党内の政争の具とされた国民投票は、民意を刺激し、国内に癒やしがたい傷を残した。

 「望んだ結果ではなかった」。国民投票で残留を訴え、敗北したデービッド・キャメロン首相(49)。27日、英下院での緊急演説で唇をかんだ。

 議場に、次期首相の最有力候補と目される保守党下院議員、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長(52)の姿はなかった。

 2人とも、名門私立イートン校からオックスフォード大学に進んだエリート。ジョンソン氏が先輩だ。

 ジョンソン氏は、離脱派の旗振り役として「主権を取り戻せ」と訴えた。

 かつて英紙のブリュッセル特派員として、欧州統合の機関の官僚主義を酷評してきたジョンソン氏。「非民主的で、無駄が多く腐っている」など、これまでもEU批判の発言はあった。

 だが今年2月下旬、人気政治家のジョンソン氏が、EU改革にとどまらず、さらに過激な離脱の主張を始めたのは人々を驚かせた。

 背景には、自らの存在感を高め、政敵を出し抜こうという思惑があったとみられている。

 ジョンソン氏本人は、国民投票で離脱派が敗れると予想していただろう――。保守党閣僚は、英紙にそう語った。敗れてもEU懐疑派が多い党支持層の間で株が上がれば、次の首相への可能性が増す。そんなシナリオを描いていたようだ。

 一方のキャメロン氏がEU離脱を問う国民投票の実施を打ち出した上で、残留を訴えたことにも政治的な思惑があった。

 2013年、国民投票の実施を表明。15年の総選挙の公約にも掲げた。

 13年当時、保守党内ではEUに権限が集中する状況に「EU懐疑派」の不満が募り、キャメロン氏の求心力を脅かしていた。また移民規制を掲げる英国独立党(UKIP)が保守党の支持層に食い込んでいた。

 「国民投票」を掲げることでUKIPを抑えられ、EUからも有利な条件を引き出せると踏んだ。EUから得た条件を手に国民投票で残留を勝ち取れば、EU懐疑派を抑え込めるとの計算もあったとされる。

 15年の総選挙は勝った。だが国民投票は敗れた。

 政治家たちの「賭け」と「誤算」は国論を二分し、国民の暮らしと世界経済を危機にさらした。

ヘイト犯罪、国民投票後に急増

 移民問題が争点となった国民投票の後、英国で人種や民族の間の憎悪をあおる動きが表面化している。

 特に標的になっているのが、ポ…

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