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 世界ランキングは772位。テニスのウィンブルドン選手権で、主にレッスンプロをしてきた無名の英国選手が起こした奇跡が、地元メディアの注目を集めている。マーカス・ウィリス。今季これまでシングルスで稼いだ賞金はわずか292ドル(約3万円)の25歳が、一念発起した大舞台で花開いた。

 ウィリスは予備予選から6試合を勝ち上がって本戦に出場すると、27日の1回戦では同54位のリカルダス・ベランキス(リトアニア)にストレート勝ち。17番コートは立ち見客ができる大盛況だった。勝利後に用意されたのは一番大きな記者会見場で、「自分でも何が起きたかわからない」と目を丸くした。

 ロンドンのテニスクラブで老若男女に教えるコーチが本業だ。度重なるけがもあり、今夏にはプロ選手の道をあきらめ、米国でコーチ業をする計画もあった。だが、新しく出来た恋人に説得され、思いとどまった。家族や友人が見守る中で勝利を決め、真っ先に「恩人」の恋人と抱き合った。この勝利で5万ポンド(約680万円)を手にした。

 2回戦はウィンブルドンを7度制したロジャー・フェデラー(スイス)と対戦する。フェデラーは「彼のような物語が僕たちの競技に必要なんだ。無名の選手の活躍は男子テニスの層の厚さを示している。自分もすばらしいプレーをして、みんなを楽しませたい」と語った。

 用意される舞台は29日のセンターコート。ウィリスは「夢がかなう。小さい頃からの夢だった大きなコートに立てるなんて」と話している。(野田枝里子)