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 南シナ海での中国の領有権主張や人工島造成は国際法違反にあたるとして、フィリピンが中国を相手に進めている国際裁判で、審理している常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)は29日、来月12日に判決を出すと発表した。南シナ海の領有権をめぐる問題で、初の司法判断となる。

 中国は南シナ海をめぐり、「9段線」という独自の境界線を掲げ、ほぼ全域に自国の権利が及ぶと主張。南沙(スプラトリー)諸島の岩礁を埋め立てたり、西沙(パラセル)諸島にミサイルを配置したりするなどしている。フィリピンは2013年、中国の9段線の主張や、岩礁の埋め立てや開発がフィリピンの権利を侵害していると訴え、国連海洋法条約に基づき提訴していた。

 中国は仲裁手続きは不当だとして参加を拒否したが、ハーグの常設仲裁裁判所は、昨年10月に訴えを審理する権限があると判断。実質的な審理に入っていた。南シナ海は石油やガス資源が埋蔵されているとされ、豊かな漁場もある。中国、フィリピンだけでなく、台湾、ベトナム、マレーシア、ブルネイが領有権を主張している。

 フィリピンでは30日、ロドリゴ・ドゥテルテ氏が新大統領に就任する。判決をどう受け止め、中国にどう対応するか注目される。(ブリュッセル=吉田美智子、マニラ=佐々木学)

中国「判決出すべきではない」

 中国外務省の洪磊・副報道局長は29日夜、南シナ海の領有権をめぐる常設仲裁裁判所の判決が7月12日に下されると公表されたことを受けてただちに談話を発表し、「仲裁裁判所には管轄権がなく、審理を進めるべきでなく、判決を出すべきではない」と、反対する方針を強調した。

 談話では、フィリピンによる提訴を「一方的で国際法に違反している」と非難。その上で「中国が受け入れないとの方針は国際法に依拠している」と主張。「中国は領土問題と海域境界の紛争で、第三者による解決方式を受け入れないし、解決方式の強制も受け入れない」とも述べ、判決が出ても拒否する考えを示した。(北京=倉重奈苗)