拡大する写真・図版 秋田市内で乗用車と衝突し死んだクマ(秋田県警高速隊提供)

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 5月下旬から6月上旬にかけてクマに襲われたとみられる4人の遺体が見つかった秋田県鹿角市十和田大湯で30日、男性がクマに襲われ大けがをする事故があった。この日、同市で開かれた広域クマ対策会議では、秋田、青森両県の自治体が事故防止に向けた連携を申し合わせ、秋田市の高速道路ではクマが自動車と衝突して死ぬ事故もあった。

 30日午前9時20分ごろ、秋田市上北手古野の秋田道下りで、横手市の女性(20代)が運転する乗用車がクマと衝突した。女性にけがはなかったが、クマは死んだ。

 県警高速隊によると、現場は秋田南インターチェンジ(IC)から協和IC方向に約200メートルの地点。乗用車から見て左の山から下りてきたクマが道路を横断し、中央分離帯で引き返し山側に戻ろうとしたところ、乗用車の右前部とぶつかった。クマは体長約110センチという。

 この日は、クマの目撃情報も相次いだ。

 大仙市大神成で午前7時20分ごろ、歩いていた女性(60代)が路上にクマ1頭がいるのを目撃した。

 にかほ市象潟町の県道でも正午前、体長約1メートルのクマが道路を横断する姿が目撃された。現場は日本海沿岸東北自動車道の象潟インターチェンジそば。

ワラビ採りの男性襲われる

 30日午前9時40分ごろ、鹿角市十和田大湯の林道で、ワラビ採りに来ていた同市花輪の会社員富樫孝さん(54)がクマに襲われ、頭や腕を引っかかれたり、かまれたりする大けがをした。現場は、タケノコ採りに来てクマに襲われたとみられる男女4人の遺体が見つかった山林から数キロ南に離れた場所。

 秋田県警鹿角署によると、富樫さんは両親と3人でこの日午前9時15分ごろからワラビ採りを始めた。それぞれ離れて歩き、林道で富樫さんが振り返ったところ、目の前に親グマ1頭と子グマ2頭がいた。走って逃げようとしたが転倒し、覆いかぶさってきた親グマにかまれるなどしたという。

 富樫さんはその後走って逃げ、両親と合流。車で移動しながら、通りかかったバス運転手に助けを求め、119番通報を頼んだ。けがの治療には、手術が必要という。現場は国道104号から林道を約1・3キロ入った所で、青森県田子町に近接している。

周辺自治体が対策会議

 4人がクマに襲われて死亡したとみられる鹿角市十和田大湯の現場に近い秋田、青森両県の2市3町1村が30日、同市で対策会議を開いた。クマ情報の共有や統一した事故防止行動をとることなどを申し合わせた。

 会議は犠牲者やけが人に青森県の人も含まれていることから鹿角市が呼びかけ、小坂町、青森県の十和田市、三戸町、田子町、新郷村の担当者ら16人が出席した。冒頭、鹿角市の担当者らが死亡事故発生の経緯や、通行規制などその後の対応を説明。「(地元の市民以外への)周知には限界がある」と話し、自治体間の広域連携の必要性を訴えた。

 一方、十和田市の担当者は「事故現場でクマが駆除された後の情報がない」と話した。会議では、クマの事故が心配される秋や来年のタケノコシーズンに向け、事故防止のための統一行動や情報の共有、再度の会議開催を申し合わせた。

 鹿角市の大森誠農林課長は「各自治体による統一行動や情報共有の仕組みを早急に構築したい」と話した。