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 今年もまもなく本格的な夏山シーズン到来。だが、自分の体力や技術を知らずに登ることは遭難につながる。事前に低い山をどれぐらいの時間で登れるか確認し、体力に合った山やルートを選んで事故を防ごうという取り組みが始まっている。

 「私はどの山なら登れますか」。関西山岳ガイド協会の三輪文一会長(67)は山歩きを始めた人からよくこんな質問を受けるが、「10キロの荷物を背負って歩き続ける体力があるかどうかは、実際に登ってみないとわからない」。

 ほかのスポーツなら段位やレベルに応じた楽しみ方が出来るが、登山はそうしたレベル分けがない。一方中高年層の登山ブームもあって、警察庁によると、昨年の山岳事故は統計が残る1961年以降で最多の2508件。遭難者(計3043人)の約半数は60歳以上(1565人)だ。

 三輪さんは、鹿屋体育大の山本正嘉教授(運動生理学)の協力を得て、六甲山(兵庫県)で標高差約900メートルをどれくらいで登れるか、毎年タイムトライアルを開いてきた。目安にするのは「メッツ」と呼ばれる指標。登山者の心拍数や脱水量などから安静時の何倍のエネルギーを使うか算出したものだ。六甲山だと2時間半以内で登れた人は8メッツ、2時間半~3時間は7メッツ、3時間~3時間半は6メッツとなった。

 日本アルプスの難易度の高いルートや雪山、岩山の本格的登山は8メッツ、雪がない時期の国内の大半の山は7メッツ、ハイキングは6メッツが目安。指標を目安に山を選べる。登るのに時間がかかった人が訓練せずに日本アルプスなどに登ると心臓への負担が大きい。三輪さんは「体力が分からずに登って遭難したり体調不良に陥ったりする前に、自分を知って欲しい」と語る。

 昨年273件の山岳遭難が起きた長野県でも、県山岳協会が運営する県山岳総合センターが昨年10月、初めて美ケ原(うつくしがはら)で「登山体力セルフチェック」を行い、先月2回目を開いた。標高差620メートルを登る。参加者から「自分の体力が分かってよかった」といった声が聞かれたという。

 「若い頃の記憶から、自分を過信しがち」とセンターの杉田浩康所長(62)はいう。センターの調査では、60代以上で登山歴10年以上の「ベテラン」が遭難者の約4割を占めている。

 山本教授によると、チェックは傾斜が比較的急な標高500メートルほどの山がおすすめで、どこでも出来る。1時間で標高差500メートルを登れば8メッツ、400メートルなら7メッツ、300メートルなら6メッツが目安。「きつさを感じる手前」のペースで歩くのがポイントという。山本教授は「60歳を過ぎると体力は急速に落ちる」と指摘、定期的なチェックを呼びかけている。

山グレーディング、各地で始まる

 山の登りやすさを、コースタイムや標高差などに基づく体力度(コース定数)と、技術的な難易度という二つの物差しで評価し、公表する取り組みも進む。

 長野県山岳総合センターが20…

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