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 もしも目の前で人が倒れたら……。救急隊の到着までに応急処置ができるかどうかで、救命率は格段に上がるそうです。最新の応急処置をご紹介します。

 講習会などで「気道確保」「人工呼吸」「胸を押す(心臓マッサージ)」を習った人も多いかもしれない。だが、一般社団法人日本蘇生協議会が昨年、ガイドラインを改訂。「自信がなかったら、まず胸を押す」ことを強調した。人工呼吸は「講習を受けて技術があり、やる意思がある人」の場合に薦める。

 病院外で心停止した全国の症例を分析すると、胸を押しただけの場合と、人工呼吸を組み合わせた場合とでは救命率はあまり変わらなかった。同協議会代表理事で静岡県立総合病院の野々木宏医師は「人工呼吸でもたついたり、躊躇(ちゅうちょ)したりするより、1秒でも早く胸を押す方が良い」と話す。

 具体的な例で教えてもらった。ある日の夕食後、突然リビングで祖母が倒れた。まず反応を確認する。「大丈夫?」。声を掛けて肩を揺するが、目を開けず、返事もない。体は引きつけのように動く。野々木さんによると、「体が動いていても、心停止している場合がある」。すぐに119番通報。

 消防署の通信指令員から具体的な指示を受ける。「普段通りの呼吸はありますか」などと聞かれるので、祖母を観察する。「がー、ががっ」。祖母はしゃくり上げるように、いびきのような音を出している。心停止していると、このような状態になることもある。「もし心停止していない状況で胸を押しても重大なことにはならない。でも、心停止していたら救命率はどんどん落ちる。迷わず押して」と野々木さん。

 押すのは「胸の真ん中」の胸骨がある硬い部分。一点に力がかかるように手のひらを重ねて押す。5センチぐらい胸がへこむ強さが目安。心臓を押して、ポンプのように血液を脳に送るイメージで。野々木さんは「押し過ぎを心配する人がいるが、骨にひびが入っても致命的ではない」という。子どもも処置は同じだが、体の小さい子どもや乳児の場合は胸の厚さの3分の1沈む程度に片手や指で押す。

 外出先などで近くに自動体外式除細動器(AED)があるなら、119番通報している間に他の人に持ってきてもらう。ただし、AEDは心臓がけいれんする心室細動を電気ショックで正しい動きに戻すものなので、完全に心臓が止まっている場合は「電気ショックは必要ありません」と音声ガイドが流れる。その場合も、ガイドに従い救急隊の到着まで胸を押し続けることが大事だ。

 総務省消防庁の2014年のデータでは、救急隊が到着するまでにかかる時間は全国平均8・6分。この間、一般市民が心肺蘇生をしたケースは5割超にのぼり、1カ月後の生存率は15・4%だった。一方、何もしなかった場合は8・4%だった。

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