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 文化審議会は15日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に、琵琶奏者の奥村旭翠さん(65)、能シテ方の野村四郎さん(79)と大槻文蔵さん(73)、歌舞伎脇役の中村東蔵さん(78)、紬織(つむぎおり)の村上良子さん(66)の5人を認定するよう、文部科学相に答申した。5人の認定で人間国宝は116人になる(うち1人は重複認定者)。このほか、常磐津節(ときわずぶし)の1人が、重要無形文化財保持者の団体の構成員として追加認定される。

 また、文化財保存のための選定保存技術の保持者に、手切鑢(てきりやすり)製作の沢田英之助さん(89)、保存団体に建造物漆塗(うるしぬり)の公益財団法人日光社寺文化財保存会を認定するよう答申した。

 そのほか、登録有形文化財として、米国出身の女性宣教師が住んだ「アレン記念館」(岩手県久慈市)▽大阪・中之島のオフィスビル「リバーサイドビルディング」(大阪市)▽れんが造りの「旧中央線隧道(ずいどう)」など(愛知県春日井市)▽1905(明治38)年に建てられた琉球民家「旧名城(なしろ)家住宅」(沖縄県伊是名村)など、29都道府県の204件の建造物について登録を答申。継承者が減っていることなどから「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として、「琉球古典箏曲(そうきょく)」(沖縄県)を答申した。

 人間国宝に認定される人は次の通り。(敬称略)

〈奥村 旭翠(おくむら・きょくすい=本名・奥村和美)〉 大阪市生まれ。筑前琵琶演奏家の山崎旭萃に師事。1976年にNHK邦楽オーディションに合格し、2007年に筑前琵琶橘流日本橘会「大師範」に。伝統的な技法に基づきながら、卓越した技量を示す演奏活動をしている。

〈野村 四郎(のむら・しろう)〉 狂言方和泉流六世野村万蔵の四男として生まれ、幼少時から父に師事。シテ方二十五世観世宗家観世元正(もとまさ)に入門。端正優美とされる観世流の芸風を継承、体現しているとして、06年、日本芸術院賞。日本能楽会会長として伝承・振興にも貢献した。

〈大槻 文蔵(おおつき・ぶんぞう)〉 幼少から父・大槻秀夫や祖父・大槻十三らに師事。研究者と協力して、廃絶した作品をよみがえらせ、再演することに意欲的に取り組み、能楽界を活性化させてきた。07年には、老女物の秘曲の中でも最高位とされる「関寺小町」を演じた。

〈中村 東蔵(なかむら・とうぞう=本名・河野均)〉 六世中村歌右衛門の芸養子となり、三世中村玉太郎として初舞台を踏んだ。その後、中村東蔵を襲名し、立ち役、女形を問わず歌舞伎の幅広い技芸に長じる。幅広い俳優と共演し、後進の指導にも尽力した。

〈村上 良子(むらかみ・りょうこ)〉 秋田県生まれ。人間国宝の志村ふくみに師事し、真綿を手紡ぎした紬糸で作る「紬織」の技法を習得。植物染料による透明感のある色彩と紬織の風合いを生かして自然の情景や生命感などを象徴的に表し、現代的な表現が評価されている。