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 第98回全国高校野球選手権東・西東京大会(朝日新聞社、都高校野球連盟主催)は13日、曇天の下で東西計28試合があった。西大会は2年連続準優勝の東海大菅生が日大二との接戦を制したが、日野は国士舘に力及ばず初戦で姿を消した。東大会では、昨夏準優勝の日大豊山が足立新田の反撃を振り切って3回戦へ。三田は延長十三回サヨナラ勝ちで2009年以来の初戦突破を果たした。14日は東西合わせて27試合で、東大会もシード校が登場する。

雨中の141球、粘投実らず 聖徳学園・長谷川投手

 小雨が降り始めた一回裏。意表をつく選手起用で先発させた投手が2点本塁打を浴び、聖徳学園のエース長谷川宙輝(ひろき、3年)が急きょマウンドに立った。

 「対策はない。気持ちでぶつかる」。左腕をしならせ、最速144キロの直球と、打者の手元で鋭く曲がるスライダーを放つ。3、4番を連続三振、5番を中飛に抑えた。

 プロからも注目される大会屈指の左腕。中学までは公式戦未勝利。高校入学後に体幹トレーニングを積んで体をつくり、球速は20キロ以上増した。11日の初戦は6回を無失点に抑えた。

 雨脚が強まった四回裏。長谷川は制球を乱した。球が滑り、指から抜ける。ユニホームで手をふいて息を吹きかけたが、3四球を与えた。「こんな雨での試合は初めて」。不運も重なり、2失点した。

 昨夏4強の国学院久我山は全打者がバットを短く持ち、直球に狙いを絞った。長谷川の投球のクセを試合中に見抜き、打席に立つ位置も工夫した。2三振しながらも右越え二塁打を放った3番の笠原大和(3年)は「この大会であれ以上の投手はいない。決勝のつもりで臨んだ」と振り返る。

 聖徳学園が6点差にされた八回裏2死一、二塁。長谷川の球数は140に達した。「つった左足の感覚がなく、立っているのがやっとだった」

 伝令がベンチから走ってきた。「この学校はずっとおまえのチームだった。最後は全力で投げろ」。集まった内野手が笑顔でうなずく。141球目。長谷川が選んだのは直球だった。「今の状態でのベストの球」で、最後の打者を右飛に仕留めた。

 雨がやんだ試合後、背番号1は納得したような表情で言った。「もっと体を大きくして、もっと心を高めて、野球を続けたい」=町田市小野路(矢島大輔)