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 第98回全国高校野球選手権高知大会第3日の18日は四国地方も梅雨明け。晴天の下、1回戦2試合と2回戦3試合が行われた。高知市営球場の1回戦2試合はいずれもコールドゲーム。県立春野球場であった2回戦は、昨年優勝の明徳義塾と高知商のシード校、高知工の3校がそれぞれ準々決勝に駒を進めた。20日は県立春野球場で2回戦3試合が行われる。

競い合い 支え合って 室戸・安岡将妥投手と安岡航也捕手

 一回表1死満塁、カウントは3―2。室戸のエース安岡将妥(しょうた)君(3年)が左腕から投じた一球は141キロ。右打者の内角を突いた。だが、判定はボール。押し出しとなった。

 「ストライクゾーンが狭いのかな」。その動揺は次の二回も続いた。四死球を4個与え、本塁打を含む長短打4本を浴びた。この回、7失点。

 捕手の安岡航也君(3年)は、直球のサインに首を振る将妥君を見て、思った。「変化球が投げやすいんだな」。変化球主体に組み立て直した。

 ふたりが初めて出会ったのは高校に入学したとき。「おんなじ名字やな」。それがきっかけで、仲良くなった。今は捕手の航也君も元は投手。ふたりはライバルでもあった。

 昨年の高知大会2回戦。エースナンバーの航也君が先発、将妥君は六回から救援。将妥君は140キロ超の左腕として注目された。「制球力以外は航也に負けない」と将妥君。

 ライバル関係は昨秋、終わりを告げた。航也君が右ひじを痛めたのだ。外野手に転向、自分ができることをやろうと決めた。それは将妥を支えることだった。5月に捕手になった。

 この日、航也君のリードもあって、将妥君は徐々に調子を取り戻した。だが、序盤の失点を覆せない。

 七回裏、点を取らなければコールド負け。「お前次、打順回ってくるから絶対出ろよ」。将妥君はベンチで航也君に言った。

 航也君は2死から右前安打で出塁。次打者は将妥君。一塁ゴロに倒れた。

 「気がついたら試合が終わっていた。最後の夏とは思えない」。試合後、将妥君は笑顔だった。「将妥の球を最後に受けられてよかった」。航也君もさばさばとした顔をしていた。

 二人はそれぞれ別の大学に進学する。将妥君は野球を続けるつもりだが、航也君は高校で野球をやめる。

 野球部は引退するが、卒業まで航也君は将妥君の練習につきあうつもりだ。「将妥が大学でも活躍できるよう、これからもあいつのボールを受ける」(高木智也)