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 ロシアの組織ぐるみのドーピングは陸上界だけでなく大半の競技に広まり、検査機関の不正を政府が主導していたことが世界反ドーピング機関(WADA)の調査報告書で明らかになった。WADAは8~9月のリオデジャネイロ五輪・パラリンピックからロシアの全選手を締め出すことを検討すべきだと勧告。国際オリンピック委員会(IOC)は19日に理事会を開いたが、結論を持ち越した。

 すでに出場停止が決まっているロシアの陸上選手が国際陸連の処分に異議申し立てを行っており、スポーツ仲裁裁判所の裁定が21日に出る。IOCは、この結果も参考にするという。

 また、ロシア・スポーツ省の関係者らのリオ五輪への立ち入りを認めないほか、ドーピング隠しが行われた2014年ソチ五輪に出場したロシアの全選手を調べ直すことも決めた。冬季五輪競技の国際団体に対し、ロシアで開かれる予定の世界選手権やワールドカップなど主要大会の開催準備を凍結するよう求めた。これらの処分は今年12月31日までの暫定処分で、12月の理事会で再検討する。

 不正が明らかになったのは11年後半~15年8月で、国際大会では13年世界陸上選手権やソチ五輪などが含まれる。調査チームは、モスクワの検査機関が577件のロシア選手の陽性結果を把握していたことを突き止めた。この577件は陸上139件、重量挙げ117件、パラ競技35件など五輪競技外も含めて31競技。ただし、選手名は公表されていない。陽性の結果はその都度、検査機関からスポーツ省に報告され、ユーリー・ナゴルヌイフ次官ら上層部の指示で、そのうち312件は救済対象としてその後一切調査をせずに「陰性」と登録した。多くの競技でドーピング隠しが行われていることも明らかになった。

 ロシアは10年バンクーバー五輪で、国・地域別で11位の金3個を含めメダル15個に終わった。ソチ五輪では国・地域別でトップの金13個を含む33個のメダルを獲得した。自国開催のソチ五輪で低調な結果を避けるために組織ぐるみのドーピング及び隠蔽(いんぺい)を始めたとみられる。

 ロシアのプーチン大統領は声明を発表し、出場停止が陸上以外にも広がる可能性が浮上していることに不快感を表明。1980年モスクワ五輪と84年ロサンゼルス五輪で東西諸国がそれぞれボイコットしたことを例に挙げ、「政治によるスポーツへの干渉が繰り返されようとしている」と強く批判した。(遠田寛生、河野正樹駒木明義