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 がらんとした広いトレーニングジムで汗を流す選手は、日本人の2人だけ。

 錦織圭(26)は2014年全米オープンでの光景を覚えている。アジア人として4大大会の男子シングルスで初の決勝進出を成し遂げた、あの夏のことだ。

 「すごく印象的です。大会序盤はごった返していたのに、ジムからどんどん人が減る。最後の3日間ぐらいは僕と国枝さんしかいない時間帯が何回かあった」

 同じ大会の車いすテニス部門で、男子シングルス、ダブルスの2冠に輝いた国枝慎吾(32)のことだ。

 国枝の記憶はもっと鮮明だ。錦織が世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破った準決勝をジム内にあるテレビで見ていた。帰ってきた錦織を待ち受け、「イエーイ、とハイタッチで祝福しました」と振り返る。

 テニスの4大大会は一般の部の大会後半、車いすテニス部門が同じ会場で開かれる。敗者は荷物をまとめ、帰路につく。錦織がベスト8に勝ち上がる頻度が増えた最近は、顔を合わす機会も増えた。

 先に世界の頂点に立ったのは国枝だ。初めて世界ランキング1位になったのは、06年秋だった。

 その翌年、日本の記者が、男子テニス界で絶対的な強さを誇っていたロジャー・フェデラー(スイス)に、「なぜ日本のテニス界からは世界的な選手が出ないのか」と質問すると、フェデラーは、こう異を唱えたという。

 「何を言うんだ君は? 日本にはクニエダがいるじゃないか」

 錦織がプロ転向を宣言した年の出来事だ。幼い頃からフェデラーにあこがれてきた錦織は、その逸話を知っている。「ロジャーにも国枝さんは知られているんだ。すごいなあと思った」

 国枝の強さを分析してもらうと、「メンタルがとにかく強いと思う。約10年にわたり、ほぼ世界ランク1位を保ちつづけるのは並大抵じゃない」。トップレベルになればなるほど、勝負を分けるのは「絶対に勝つ」と自分を信じる心の強さ。その世界に身を置く錦織だから説得力がある。

 錦織は車いすテニスをイベント…

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