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香山リカさん(精神科医)

 ヘイトスピーチの解消を目指す対策法が施行され、ヘイトデモが中止になるなど一定の効果が出ている。そんな中、東京都知事選に数多くのヘイトデモを実施してきた排外主義団体の元会長が立候補した。その街頭演説は耳をふさぎたくなる主張の連続だった。

 「20年前、イラン人が路上で覚醒剤を売りつけていた。代わって今、大変な問題を起こしているのはシナ人、朝鮮人だ」などと叫び、在日韓国・朝鮮人らを犯罪や社会保障費と結びつけて「帰れ」と攻撃していた。偶然聴いてしまった当事者は、どれほど衝撃を受けたことか。

 表現の自由、公選法の範囲内での選挙活動は尊重されるべきだ。でも、ヘイト対策法との整合性が取れていないのはおかしい。選挙期間中ならば対策法が定める「本邦外出身者を地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動」が公然とできる現状は看過できない。

 ヘイトスピーチは「魂の殺人」とも言われる。私の元には、それによって心に傷を負った外国人が治療を求めて訪れる。一日も早く対策が講じられ、ヘイトスピーチなき選挙活動が行われるように願う。

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