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 登山家の田部井淳子さん(76)が呼びかけた「東北の高校生の富士登山」(山と溪谷社・日本山岳遺産基金、田部井さん主催、朝日新聞社など後援)が27日あり、福島、宮城両県の高校生93人が日本一の頂を目指した。

 前日は静岡県側の富士宮ルート6合目に宿泊し、27日午前3時、冷たい霧雨の中を歩き始めた。時折強い雨が打ちつけたが、高校生たちは励まし合いながら、登山道を一歩一歩進んだ。

 福島県立小高商業高校2年の木幡澪優(こわたみゆ)さん(16)は標高3千メートル付近で気分が悪くなり、グループから遅れてしまった。「もうダメだと何度も思いました」

 スタッフが介抱して、なんとか回復。頂上直下で天候も好転し、強い日差しが照りつける標高3776メートルの剣ケ峰に午前10時すぎ、仲間と一緒に立った。「すごい光景です。あきらめないで良かった。みんなに励まされました」。この日昼過ぎまでに、93人全員が登頂に成功した。

 富士登山は全国から寄せられた寄付などで運営し、今年で5回目を迎えた。登頂はしなかったものの登山道で高校生を励ました田部井さんは「復興の力となる若い世代に、日本一の頂に立って自信をつけてほしい」と話している。(斎藤健一郎