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 3週間近くにわたった兵庫大会は、市尼崎の33年ぶりの優勝で幕を閉じた。県内で春夏連続の甲子園出場は2007年、夏の連覇は08年を最後に途絶えている。162チームが参加した全国有数の激戦区。最後まで勝ち抜く難しさをあらためて感じさせた。

 市尼崎は、引き分け再試合になった西宮今津との5回戦から決勝まで、6日間で計5試合を戦った。すべてに登板したエース平林弘人(3年)の力投はもちろん、チームメートの堅い守りも光った。

 ピンチのたびに、真っ先にマウンドに駆け寄ったのは捕手の谷尻尚紀(2年)。先輩の平林の胸を拳で小突き、鼓舞する姿が印象的だった。

 決勝の先発メンバーは6人が2年生。若いチームが甲子園でさらに成長することを期待したい。

 明石商は昨夏の決勝戦で滝川二に敗れて以来、県内の公式戦でこの1年間、負け知らずだった。市尼崎との決勝戦で連勝は20で止まったが、1点差での惜敗。選抜8強の安定した実力を示してくれた。

 明石商の吉高壮(そう、3年)、報徳学園の主島大虎(ぬしじまだいご、同)、神戸国際大付の平内(へいない)龍太(同)ら、好投手が目立った大会でもあった。兵庫工の岸川翼(同)は2回戦で、無安打無得点試合を達成した。

 中でも存在感を放っていたのが、西脇工のエース武次春哉(たけつぐあつや、3年)だ。162センチと小柄ながら、2回戦では13奪三振、3回戦は被安打3に抑え、2試合連続で完封。神戸国際大付との4回戦で敗れたが、延長十回を1人で投げ、最後の打者として一塁へ頭から滑り込んだ。主将も兼ねるリーダーの姿が胸に迫った。

 ここ数年、苦戦が続いたチームの躍進も目立った。

 明石南は、ノーシードから9年ぶりに8強入りを果たした。学校の統合で再来年に学校の名が消える兵庫商は4回戦でコールド負け寸前から6点差をひっくり返し、16強に進んだ。

 県農業はサヨナラ勝ちで5年ぶりに初戦を突破すると、2回戦もサヨナラ勝ち。3回戦で延長十一回で敗れたが健闘が光った。

 それぞれの試合の後、球場の外では「あれだけ練習したんだけどな。悔しいな」。監督から最後の言葉をかけられたり、「お疲れさま」と出迎えた両親に抱きかかえられたりして、涙を流す選手たちの姿があった。誰かの支えを実感して戦った夏。選手たちの新たな一歩に期待したい。(吉沢英将)

     ◇

◆兵庫大会の優勝校

1980年 滝川

  81年 報徳学園

  82年 東洋大姫路

  83年 市尼崎

  84年 明石

  85年 東洋大姫路

  86年 東洋大姫路

  87年 明石

  88年 滝川二

  89年 神戸弘陵

  90年 育英

  91年 村野工

  92年 神港学園

  93年 育英

  94年 姫路工

  95年 尼崎北

  96年 神港学園

  97年 報徳学園

  98年 報徳学園=東

      東洋大姫路=西

  99年 滝川二

2000年 育英

  01年 東洋大姫路

  02年 報徳学園

  03年 神港学園

  04年 報徳学園

  05年 姫路工

  06年 東洋大姫路

  07年 報徳学園

  08年 報徳学園=東

      加古川北=西

  09年 関西学院

  10年 報徳学園

  11年 東洋大姫路

  12年 滝川二

  13年 西脇工

  14年 神戸国際大付

  15年 滝川二

  16年 市尼崎

(98年、08年は記念大会のため東西2校が代表。太字は全国選手権優勝)