[PR]

 G・W・ブッシュ元米国大統領の大失敗はイラク戦争にとどまらない。核軍縮でも大きな禍根を残した。核戦争のリスクを減らすふたつの条約を横紙破りにしてしまったのだ。その結果、米ロは、そして世界は、冷戦さながらの核先制攻撃のリスクを今なお背負い続けている。

 無効になった条約のひとつは、父親のG・H・W・ブッシュ氏が大統領の時にロシアと合意した第2次戦略兵器削減条約(START2)。1993年に署名された。

 当時、米国にとって最大の脅威はロシアの多弾頭付き大陸間弾道ミサイル(ICBM)だった。一基のミサイルに複数の標的を攻撃できる弾頭を搭載できたことから、先制攻撃力を持つ核兵器と恐れられていた。父親のブッシュ元大統領はロシアを説得し、多弾頭式ICBM禁止を盛り込んだ条約の署名にこぎつけた。

 ところが息子のブッシュ元大統領は、この条約の米国議会での批准にてこずったこともあって、新たな核軍縮のためのモスクワ条約をロシアと結んだ。モスクワ条約(2003年発効)では総弾頭数の上限はSTART2より低くなったが、多弾頭式ICBM禁止は書き込まれなかった。ほどなくSTART2は無効となり、ロシアは今も堂々と多弾頭式ICBMを配備している。

     ◇

 無効になったもうひとつの条約は、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約(1972年発効)だ。敵の弾道ミサイルが着弾する前に、迎撃ミサイルで打ち砕く。こうしたミサイル防衛システムを厳しく規制したのが、ABM制限条約だ。

 一方がミサイル防衛を張り巡ら…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら