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 初出場の嘉手納(沖縄)に、横浜(神奈川)を春夏3回全国優勝に導いた、あの「名参謀」が臨時コーチとして同行している。甲子園を知り尽くした経験から、選手や指導者たちにアドバイスを送る。

 小倉清一郎さん(72)は、横浜で部長やコーチとして指導し、渡辺元智・前監督と二人三脚でチームをつくった。横浜では3回甲子園で優勝。松坂大輔投手(ソフトバンク)や筒香嘉智選手(DeNA)ら多数の選手を育てた。2014年に勇退してからは、全国で野球の指導をして回る。

 嘉手納の大蔵宗元監督と人づてに知り合いになり、一昨年12月に数日間、指導した。沖縄大会中も大蔵監督が電話で小倉さんに相談したという。

 今月、関西に入った嘉手納と合流。変化球を投げる時の球の握り方など細かく指摘した。ところが、選手たちは戸惑うばかり。全国から有望な選手が集まる横浜と違い、大半が地元の嘉手納町と読谷村の出身。沖縄大会ではノーシードだった。

 だが、小倉さんは指導の手を緩めない。犠飛で走る時の体の角度や、ベースカバーに入る投手の一塁の踏み方など細かく指導する。「そんなんじゃ野球をする段階じゃねぇんだよ」と怒号が響くことも。

 選手たちの目の色が変わったのは、初戦の前橋育英(群馬)の地方大会のデータを分析したノートを見てからだ。小倉さんといえば、相手のデータを調べ尽くす「小倉ノート」で有名だ。13年夏の神奈川大会では全国屈指とされた桐光学園の松井裕樹投手(楽天)を分析し、攻略した。大石哲汰主将は「視点が全然違って、みんなと『すごいなー』と話しました」。

 その後の練習の雰囲気が変わった。動きや声だしが素早くなった。大石主将は「『10回やって1回しか勝てない』と言われた。きちんと小倉先生の指摘に応えて、元気よくやろうとみんなと話しました」。

 毎晩のミーティングでは、甲子園の風向きや土の硬さなども教えている。「短期間でどうこうというのは難しいが、直せるところだけやる」と小倉さん。前橋育英は春の関東大会王者だが、「エラーをしなければ、接戦になる」。11日第3試合に初戦を迎える。(伊藤繭莉)

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