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(難波葱:1)

 大阪市中央区の南海難波駅。大阪を代表するこのターミナル駅の周辺地が、ネギ畑だった時代があったのだという。

 同市浪速区の南海電鉄本社を訪ねた。取材に応じてくれたのは営業推進室の出村谷依代さん(30)。同社の前身である南海鉄道の社史「開通五十年」を見せてくれた。1885年に難波―大和川間が開通。それから半世紀を記念して、この社史は1936年に発行されたものだ。

 社史をめくると、9ページにこんな趣旨の記述があった。「難波駅構内予定地に多少の人家もあったけれども、多くは葱(ねぎ)畑であった。当時、葱は難波の名産であって、今でも葱のことをナンバと言うほどに有名であった」

 この難波駅予定地の写真は残念ながら社史には載っていないが、1898年ごろに撮影された、ひと駅南の今宮戎駅付近の写真は収録されていた。一面に畑が広がっており、難波駅から今宮戎駅にかけてが、かつてネギ畑だったことがうかがえる。

 出村谷さんが次に案内してくれたのが、難波駅構内にある系列のそば店「南海そば」だ。今年2月に「あんかけ難波ネギそば」を期間限定で販売した。難波葱を刻んで、麺にふんだんに乗せたという。

 難波葱には独特のぬめりがあり、甘みが強いのが特徴だ。葉ネギの一種で、京都の九条ねぎと似た品種という。生産農家はわずかになったが、味と伝統的な価値が見直されて、復活させる動きもあるという。「1日30食は連日完売しました」

 「南海そば」のすぐ近くに野菜の直売所「ベジステ」がある。店頭には泉州で栽培された水ナスやキュウリなどが並ぶ。

 南海電鉄が昨年6月、大阪府泉佐野市の農業法人「泉州アグリ」と提携して開設した。若手農家が交代で店頭に立ち、来店者に泉州産の野菜のおいしさをPR。難波葱も旬の冬場には販売した。今月8~10日には駅構内で「南海沿線のおいしさ発見! 『沿線マルシェ』」を初開催して、泉州アグリなど12団体の水ナスやタマネギドレッシング、ブドウがずらりと並んだ。

 南海電鉄は農業関連ビジネスに意欲を見せていて、「難波ネギそば」もその一環だ。これからは、なんばCITYやなんばパークスなどにある、系列外のそば店にも参加を呼びかけるほか、そば以外でも難波葱メニューの開発を目指すという。

 難波といえばネギという時代の再来を期待したい。

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