[PR]

 10日の大和晃(やまとひかる)さん(22)の捜索では、車の中から「人らしきもの」を確認したものの、収容や車体の引き揚げはできなかった。そこにいるかもしれないのに――。捜索を見守った家族は、もどかしい思いを胸に熊本県南阿蘇村の現場を後にした。

 捜索は午前8時前から約80人態勢で始まった。スクラップされたような車体は土砂に深く埋まったまま。現場は大型の重機などが入れない場所で、滑車とチェーンを使って引き揚げようとしたが上がらず、周りの土砂を少しずつ掘り進めるしかなかった。岩を二つ砕いた後、警察官や消防隊員らが手作業で土砂を掘り続けた。

 午前10時すぎに現場にブルーシートが運び込まれ、その1時間半後、県職員が現場付近のボードに「人らしきものを発見」と書かれた紙を張り出した。

 車体の中が見えるまでに掘り進めた結果、確認できたのは水につかった状態の衣服など。だが、作業は難航し、はっきりと見えないまま、午後4時にこの日の捜索は打ち切られた。

 作業を見守っていた晃さんの母、忍さん(49)は捜索が終わると立ち上がったが、車の方に向かって「ひかる」と叫び、その場にしゃがみ込んだ。

 父の卓也さん(58)は「あと一歩で引き揚げられない。もどかしい。明日は必ず出てきてくれると信じています」と声を詰まらせながら話した。(池上桃子、後藤たづ子)