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 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ買収の手続きが12日に完了した。鴻海は3888億円の出資金を払って、シャープの議決権の約66%を握る親会社となった。日本の大手電機メーカーが外資の傘下に入るのは初めてだ。今後は鴻海主導の再建が成功するのか注目される。

 出資の完了を受けて、鴻海の戴正呉副総裁ら4人が新たに取締役に就いた。高橋興三社長が辞めたことで取締役は9人となり、そのうち鴻海が指名した人が6人を占める。13日の取締役会では戴氏が社長に就き、鴻海の影響力が強い経営体制がスタートする。

 鴻海は2012年にシャープへの出資をいったん約束しながら、実施しなかった経緯がある。鴻海がお金を払い込むのか不安視する見方も一部にあっただけに、手続きの完了は大きな節目となる。

 シャープは鴻海と協力して、10月下旬までに具体的な再建策をつくる。中心となるのが、不振が続く液晶事業の立て直しだ。シャープは鴻海からの資金のうち2千億円を、将来有望とされる「有機ELディスプレー」の開発にまわす。

 鴻海はコストカットを重視していて、国内では約2千人、海外では5千人前後の人員削減をする可能性がある。国内外で約4万4千人いるシャープの全従業員の約16%にあたり、実施には反発も予想される。

 ほかにもシャープの中国での生産の一部を鴻海グループに移すなど、工場の統廃合も視野に入れている。

 シャープは本社を大阪市阿倍野区から堺市の工場に7月に移すなど、合理化にすでに取り組んでいる。

 鴻海の出資によって財務の健全性は改善し、銀行の新たな支援を受けられるようになった。主力取引銀行のみずほ、三菱東京UFJの2行は12日、計3千億円の融資枠を設けた。

 シャープは鴻海の傘下に入る契約を4月に結んだ。日本や台湾、欧米など両社が事業を展開する各国当局の審査を済ませて、7月には新たな経営体制をスタートさせる方針だった。中国当局の審査が8月11日まで長引き、手続きの完了が想定より遅れていた。専門家の間では中国当局の審査には「最大で半年はかかる」として、審査完了の見通しが甘かったのではないかとの指摘もある。

 中国当局の審査が終わったことで、株式市場では鴻海傘下での再建に期待が高まった。12日の東京株式市場でシャープ株は一時、前営業日の終値より21%高い108円まで上昇した。(新宅あゆみ)