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「大きな顔をせんといて」

(20年前、介護していた義母の法要の席で夫の妹たちに言われた言葉)

 義父が他界した後、義母は長年、2人の娘(私の義妹)の家を行き来していました。「死んでも嫁の世話にはなりたくない」というのが義母の口癖でしたが、92歳のとき、介護のためにわが家で同居することになりました。

 毎日わたしとお風呂に入って体や髪を洗いました。お湯からあがると、「ありがとうございました」と言ってお金を渡そうとするのです。そんな日々を過ごすうち、笑顔がかわいい童女のようになって、わたしを生みの親のように思い、寝るときは「お母ちゃん、抱っこして」と言うのです。ベッドで私の胸に顔をうずめて、涙をながして「お母ちゃん、うれしい」と言って泣きながら眠りについておりました。6歳で母親と死に別れ、さびしさ悲しさを辛抱してきた義母の話を聞きながら、一緒に涙を流したことが今も思い出されます。

 介護とは家族の犠牲なくしてはできないことだと思います。しかし介護のつらさよりも、2人の義妹に言われた言葉を許すことができません。

 「たかが、あんたの世話なんか十カ月やないの、大きな顔をせんといて。これだけは忘れんといて」

 義母の四十九日の法要のときに言われた言葉です。

◆兵庫県 自営業女性(70代)

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 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

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