人生をかけた親友、残酷な結末 野村忠宏が見た五輪
五輪3大会金メダリスト
あまりに残酷な結末だった。私の後輩で親友でもある水泳3メートル板飛び込みの寺内健(36)は、8年かけて戻った五輪の舞台で風という不確定要素に崩れた。
あの2本目だけだった。健の演技が始まると、目も開けられないほどのものすごい風が吹いてきた。私の感覚だと、1分以上も踏みきりを待っていたように感じた。弱まることのない風の中で飛び、風に翻弄(ほんろう)されるような失敗に終わった。
若い時以上の練習を積み、最高の準備をしてきた。人生をかけて、メダルを狙った。そういうアスリートが、風に負け、予選敗退の屈辱を味わった。
健と初めて会ったのは、私が…