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 大災害の発生直後、人々はどのような情報を求めるのか――。インターネット検索大手ヤフーが、熊本地震発生後の被災者らの検索ワードを分析した。避難の手がかりを探したり、デマの真偽を確かめたりする動きが目立った。中には「英語 大丈夫」など、SNSで自身の安全を伝えようとした姿も浮かんだ。

 ネット上の情報を防災に役立てようとする動きは、2011年3月の東日本大震災以降、様々な分野で広がっている。ただ、東日本大震災では大規模な停電が長期間続いたため、ネットが使えなくなり、地震発生直後の被災地での検索データはほとんど残されていない。一方、熊本地震では被災地でも多くの家でネットが使える状況だったため、発生直後の検索データを本格的に分析できる初の大規模な地震となった。

 熊本地震は、今年4月14日午後9時26分に発生。熊本県益城町で震度7を観測した。16日午前1時25分にはマグニチュード7.3の「本震」があり、同町などでふたたび震度7を観測した。

 データは、14日の最初の地震発生から3時間の間に、熊本県内からヤフーで検索された語句を中心に分析した。この3時間に注目したのは、日常の暮らしのなかで突然震災に見舞われたとき、どのような検索が増えるのかを知るためだ。地震に関連する語句に絞って抽出。ネットにつながっているPCやスマホからの検索で、携帯電話の回線経由のものは含まない。

 分析結果から、「避難」「デマ」「英語」の三つのワードで特徴的な動きが見えた。

避難

 「避難」に関しては、「地震の時安全な場所は1階か2階か」「地震 家 安全 場所」などの言葉の組み合わせが多かった。突然の大災害に見舞われ、家の中のどこにいればいいのか確かめようとしたとみられる。

 データの抽出をしたヤフーの池宮伸次さんは「地震の発生が夜遅かったこともあり、ガスや水道などインフラ情報よりも、まず避難について調べる人が多かったようだ」と分析する。

デマ

 地震の発生直後、「動物園からライオンが逃げた」というウソの情報がネット上で拡散していた。検索データでも、「熊本動物園 ライオン 地震で逃げた」などで調べる人が多かった。

 一方で、同じタイミングで「ライオン ついったー がせ」「熊本 動物園 デマ」でも検索されていた。

 ヤフーによると、東日本大震災では、メールなどの伝達手段を通じてデマ情報は長期間に渡り拡散していた。熊本地震では、デマ情報は地震発生直後に広まったが、収束するのも早かった。記事や公式見解が出る前に、ネットユーザーの間でデマを否定する動きが自発的に起きたと見られる。

英語

 検索データからは、被災地での意外な動きも浮かんだ。

 「ありがとう、無事だよ 英語」「気にしないで 英語」など、自分の状況を英語で伝える際の英訳を調べる人が多く見られた。池宮さんは「フェイスブックなどで海外の友達に自分の無事を伝えようとしたのではないか」と指摘する。

 背景には、SNSの利用者の増加がある。総務省の情報通信白書によると、東日本大震災発生直前、2011年2月のツイッターの国内利用者数は人口の約10%だったが、2015年には3倍の31%。フェイスブックも現在、35%の人が利用しており、SNSで日常的に発信する機会は東日本大震災時よりも格段に増している。

 池宮さんは「今後、東京や大阪などの大都市で大災害が起きれば、外国人とコミュニケーションを取らねばならない場面は今回よりも格段に増えるはず。避難の指示をはじめ、お店の休業をSNSで知らせるケースなど、日頃から準備しておけることは少なくない」と指摘する。(奥山晶二郎

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