佐藤慈子
首と指先だけしか動かせない進行性の希少難病の女性が、スキューバダイビングのライセンスを取った。京都府宇治市の中岡亜希さん(39)。「障害者が一歩を踏み出す勇気を持ち、それをサポートしてくれる人と出会えれば、夢はかなう」。自身の体験を発信し、障害者の挑戦を後押ししたいと思っている。(佐藤慈子)
静岡県伊豆半島の伊東市。この7月、中岡さんが最後の講習を終え、ひょっこりと水面に顔を出した。「すごく楽しかった。私、本当に潜れたんですね」。3日間の講習でダイバーになった中岡さんを、スタッフが拍手で祝福した。
中岡さんは航空会社の客室乗務員だった25歳の時、全身の筋肉が少しずつ衰える進行性の希少難病「遠位型ミオパチー」と診断され、3年後に車いす生活になった。今は話したり食べたりはできるが、首と指先をわずかに動かせるだけで、大半を自宅のベッドの上で過ごしている。
病気になった直後は、日常生活が不自由になり、落ち込んだ。知り合いの子どもたちからキャンプに誘われても、「迷惑をかける」と前向きになれなかった。しかし「亜希ちゃんは僕たちと一緒に遊びたくないの」と問われ、はっとした。「本当は遊びたい。できないと決めつけずに、挑戦して人生を楽しみたい」という思いがあふれ出た。
頭に浮かんだのはスキューバダイビング。空の世界に魅了されて客室乗務員になったように、未知の海中にずっと憧れていた。インターネットで、障害者ダイビングの認定団体が伊東市で講習をしていることを知り、連絡。知人の運転で現地に向かった。
講習をしたのは、認定団体「HSA JAPAN」(東京都渋谷区)のインストラクター、太田樹男(みきお)さん(50)。これまでに約670人の障害者にライセンスを発行してきた。
HSAは、認定基準を障害者の身体能力の違いによって分けている。できる範囲で技術を習得してもらい、それ以外はサポートして補う。そのため、ライセンスを出す基準は、個人によって千差万別だ。
中岡さんは、これまでの受講者…
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