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「鬼」

(介護していた義父が私に言った言葉)

 80代の義父の介護を自宅でしていました。

 朝起きれば畳にうんち。自分でオムツを外して裸同然の姿で庭でオムツを燃やしてしまう。夕方、子どもの習い事の送迎に行っている間に鍋の中のものを食べてしまう……。

 繰り返すそんな日々のなかで、ついつい義父に対して強い口調になってしまうことが多かった私。

 そんなある日、義父が私のことを「鬼」と言ったのです。ショックでした。

 「~しちゃダメっていったでしょ」

 「なんで何回言ってもわからないの」

 「なにやってるの!」

 口うるさく言ってしまった私のことが、義父には鬼に思えたのでしょう。

 同じ「嫁」なのに、夫の弟(次男)の妻はたまに来るだけなので、義父に対してとても優しく接していました。

 義妹には笑顔を見せる義父。悲しいのと義妹、義弟に対する不満とで、自分の心をコントロールすることが困難になりました。

 自分では、かなり無理して頑張って介護をしてきたつもりです。

 子供たちもまだ小・中学生だったので、習い事や部活など、子供のことも大変でした。義父をデイサービスにお願いし、わずかな時間ですが仕事にも行き、本当に毎日大変でした。今振り返っても、よく頑張ったなと思います。

 でも、義父は私を「鬼」と思ったまま亡くなったのだと思うと、今でも自己嫌悪に陥ります。

 義父が施設に入ったとき、面会に行った私が「じゃあ、また来るね」と言うと、必ず「気をつけて」と言ってくれました。その言葉に少し救われました。

 「やさしくしてあげて」。親友に何度も言われたこの言葉。

 「そんなことわかってるよ。でも、それができないんだよ」と何度心の中で思ったことか。それでも、そうしてあげられていたなら、後悔することはなかったのかもしれないですね。

 やり直せるものならやり直したいと思っています。それでも、今は元気でいる実父母が義父のような状態になった時、果たして後悔のないよう接することができるのか、自信がありません。

◆群馬県 主婦(48)

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 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

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