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 福岡市東区の海の中道大橋で2006年、飲酒運転の車に追突された車に乗っていた幼児3人が亡くなった事故から25日で10年になる。それを前に父親の大上哲央(あきお)さん(43)が23日、弁護士を通じてメッセージを公表した。「忘れ去るにはまだまだ時間がかかることと思います」などと思いをしたためた。

 大上さんは事故について、「あの日の出来事は決して忘れられません。もう思い出したくない気持ちと、亡くなった3人の子どもたちのことを考えると決して忘れてはならない」と揺れる感情をつづった。

 加害者で元福岡市職員の今林大(ふとし)受刑者(32)に対しては、「現場から逃げずに救助活動をしていれば、3人とも死なずに済んだのではと悔やまれます」。事故後、謝罪は一度もないといい、「自分のしでかしたことを、本当に反省しているのですか」と問いかけた。

 事故後には今林受刑者側の主張に基づき、大上さん側の運転に非があったとする中傷がインターネット掲示板で広がり、苦しい思いをしたと明かした。街頭で「お前も悪かったのではないか」と言われたこともあり、飲酒運転撲滅への活動を中断しているという。一方で、全国で飲酒運転事故の遺族らが活動していることについては「本当に頭が下がる思いが致します」と感謝の意を伝えた。

 現在は県外で、妻かおりさんと事故後に生まれた子ども3人と暮らしている。「子どもたちのちょっとしたしぐさが亡くなった3人の面影と重なって、再び帰ってきたとの思いで暮らしています。明るい笑顔に癒やされています」と近況を記した。

 いま、3人の子どもたちには「飲酒運転の事故によって、兄さんや姉さんたちが天国に行ったのよ」と伝えているという。今月25日は、家族全員で亡くなった子どもたちの冥福を祈って静かに過ごすという。

 事故は06年8月25日夜に起きた。飲酒運転の今林受刑者の車に家族5人が乗った車が追突されて海中に転落。4歳、3歳、1歳のきょうだい3人が死亡した。今林受刑者は危険運転致死傷などの罪で懲役20年が確定した。

 メッセージは福岡県警記者クラブ加盟社からの質問に答える形で公表された。(井上怜)