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 子どもが1歳になったら認可保育施設に入れるよう事前に予約できる制度がつくられることになった。厚生労働省が来年度以降、市区町村に導入を促していく。保護者に安心して育児休業を取ってもらう狙いがあるが、待機児童の多い都市部では課題も残る。

 育児・介護休業法では、子どもが原則1歳になるまで育休を取れることになっている。ただ、待機児童の多い都市部では、年度途中に1歳になっても認可保育施設の空きが出ることが少ない。そこで保護者の多くは、0歳児クラスの新規募集がある新年度の4月に合わせて育休を切り上げる。

 入園予約制が導入されれば、子どもが1歳になる年度途中から0歳児クラスに入れたり、育休後の年度初めから1歳児クラスに入れたりできる。厚労省は保育所を探す「保活」の負担を和らげ、安心して育休を取れる環境を整える考え。育休明けから入園までの間はベビーシッターなど別の保育サービスの充実を検討。独自に国の基準よりも保育士の配置を手厚くしている市区町村もあり、厚労省は枠確保のため配置を国の基準まで緩和して対応してもらうことも視野に入れる。制度導入に必要な人件費などを市区町村に補助する。

 先駆的に予約制を導入している東京都品川区では、区立の認可保育所37カ所であらかじめ計146人分の「予約枠」を設定。1年以上の育休取得を条件に予約を受け付ける。選考は年4回で、出産後に予約の可否や入園先が決まる。昨年度は582人の予約申し込みがあった。

 今年4月時点の品川区の待機児童数は178人で、定員に余裕があるわけではない。同区保育課の担当者は「入園予約の子どもが入ってくるまでの空き枠は、地域の子どもの一時預かりに活用している。多様な保護者のニーズに対応するための制度だ」と説明する。

 一方、横浜市は2010年度に検討した予約制の導入を見送った。予約できた人より保育の必要性が高い家庭の子どもが待機児童になる「逆転現象」や、自営業など育休を取れない人が制度を利用できないといった課題が検討当初からあったという。与党議員からは「年度途中のための予約枠を設ければ、新年度に預け先が見つからなかった保護者との取り合いになってしまう」との懸念も出る。

 待機児童問題に詳しい淑徳大の柏女霊峰(かしわめれいほう)教授(子ども家庭福祉)は「予約制は育休をフルに取りたい保護者のニーズに応える制度で、予約ができる人は保活のチャンスが事実上増える。一方、育休を取れない自営業の人などとの間に不公平感が出る恐れがある。行政は、不公平感が出ないように工夫をする必要がある」と話している。(伊藤舞虹、長富由希子)