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 政府は31日、東京電力福島第一原発の事故で放射線量が高くなった帰還困難区域(約2万4千人)の一部について、2022年をめどに避難指示を解除する方針を発表した。対象は役場周辺などに限定し、来年度から放射性物質の除染などを本格的に始める。

 帰還困難区域は、原発周辺と北西部の7市町村に広がる。安倍晋三首相が31日、原子力災害対策本部と復興推進会議を同時に開き、同区域の解除方針を初めて決めた。解除は一部で、しかも事故発生から約11年を要することになる。

 方針では、事故から5年以上たち、除染をしていなくても「区域の線量は低下している」と説明。放置したままだと風評被害が続き、福島の復興が遅れる懸念も示した。

 解除の対象は役場や駅、公民館の近くなど、もともと住宅が多く、帰還しやすい場所。法律で復興拠点として認定する。選定には地元の考えを優先する。復興住宅や仮設商店などの建設に必要な予算は、来年度から確保する。

 政府の見通しでは、7市町村のうち拠点を複数置く町もあれば、過疎のため拠点の設定が難しい村もある。方針では、拠点以外の場所も「将来はすべて解除する」としたが、最終的に何年かかるかは示さず、区域の大半は「帰還不能」の状態が続く。

 復興庁の調査では、原発周辺の住民で帰還する考えを持っている世帯は約1割。戻りたいわずかな人も拠点から外れれば、自宅に戻ることは難しい。(編集委員・大月規義

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