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 5年前の東京電力福島第一原発事故で、被害者は「生きる尊厳」を奪われました――。原発事故の集団賠償訴訟の原告団などが2015年5月に設立した「原発事故被害者団体連絡会(略称・ひだんれん)」はいま、住宅の無償提供の打ち切りなどの問題をめぐって、福島県との交渉に力を入れている。武藤類子・共同代表の話からは、事故から時を経て厳しさを増す被害者の実情が浮かぶ。

「ばらばら」ではダメだ

 ――「ひだんれん」をつくった経緯は。

 設立前年の14年11月のことでした。全国各地で東電や国を相手に集団民事訴訟をしている団体や、私が団長で東電の刑事責任を追及する「福島原発告訴団」など30団体が交流を深めようということで一堂に会して、原発事故被害者集会を開きました。終了後、このつながりをもっと広げていきたいね、という話が出ました。やはり、原発事故の被害者がばらばらのままではダメだと。裏を返すと、原発事故を終わったことにしたい「勢力」にとって、被害者がばらばらでいるというのは都合のいいことだと思ったのです。それで一緒にやれることは一緒にということで被害当事者の横断組織をつくろうと動き出しました。

 ――設立宣言では、被害者の思いとして、原発事故で「生きる尊厳を奪われた」と。

 事故から時を経ても、しっかりとした賠償がなされていないと思う方が多いですし、子どもたちへの被曝(ひばく)対策もおろそかなままです。さらに国の帰還政策は、放射線はまだ残っているが、そこは我慢して暮らしてほしいというものです。被害者をあまりにバカにしている。それは、まさに人間の生きる尊厳を奪われていることにほかならない、と感じています。そして、この傷つけられた尊厳を取り戻すために、力を合わせ闘っていこうというのが、「ひだんれん」です。

「本当の救済」を求めて

 ――設立宣言には、国と東電に対し、「本当の救済を求め」てとして、被害者への謝罪や完全賠償のほか、詳細な健康診断、医療保障などの「目標」を掲げています。

 はい。例えば「謝罪」ということでは、東電幹部は交渉の場で、私たちに向かって、「申し訳ない、ご迷惑をおかけしました」と語ります。しかし、実は自分たちも地震・津波の被害者であって、加害者としての意識がないと思っているように見える時があります。端的なのは、福島第二原発の廃炉を東電はまだ受け入れていないことです。内堀雅雄・福島県知事が公に廃炉を求めているにもかかわらずです。そんな姿勢では、いくら「謝罪」を口にしても、私たちの胸にすとんと落ちません。

 健康診断などの目標は、本来、福島県が東電や国に要求すべきことだと思います。いま、子どもたちの甲状腺がんの多発が原発事故の影響ではないのかと懸念されていますよね。これに対して、福島県が頼りにする専門家は、事故の影響とは考えにくいと断じています。しかし、多発は事実なので、きちんと原因を詳しく調べるべきだと私たちは思うのです。それで、設立宣言の「目標」に健康診断も入れました。

 ――内堀・福島県知事は「ひだんれん」の面会に応じていないんですね。

 私たち「ひだんれん」が束ねる…

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