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 教科書会社が検定中の教科書を教員らに見せ、意見を聞いたことへの「謝礼」などを渡していた問題で、文部科学省は金品や酒食などを提供した会社に対し、教科書検定の申請を認めない新制度を設ける方針を決めた。申請が不可能になれば、会社は教科書を発行できなくなる。

 文科省は8日に開かれる「教科用図書検定調査審議会」に具体的な制度設計を要請する。2017年夏に省令を改正し、18年度の検定(20年度の使用分)からの導入を目指す。

 教科書検定は小中学校は4年ごと、高校はほぼ毎年行われる。新制度は、小中学校や高校の教科書を発行する会社が、教員や教育委員会側に検定中の教科書を見せて金銭や中元・歳暮などを提供し、その結果、教科書の採択に影響する可能性がある場合に適用する。文科省が「不公正」と判断すれば、次の検定で申請を受理しない。不公正だと判断する基準や、罰則の対象を該当する教科書だけとするか、その教科書を含む教科全体とするかなどは、審議会で検討する。

 いまの法令では、国費で負担する小中学校の教科書の場合、贈賄や独占禁止法違反など明確な法令違反があれば、教科書発行者の指定そのものが取り消される。高校についても採択後、該当する教科書の発行を認めない措置をとれる。だが、いずれも採択をやり直す必要があるなど教育現場への影響が大きく、過去に一度も適用されていなかった。新制度では、不公正な行為があった教科書を検定の前に「門前払い」できることになる。

 教科書会社の謝礼問題をめぐっては、公正取引委員会が7月、独禁法違反のおそれがあるとして9社に金品の提供をやめるよう警告した。各社は検定の申請後、教員らに金品や酒食、中元、歳暮を提供していたが、文科省の調査に対して「意見聴取への謝礼だった」などとして採択につなげる意図を否定している。(水沢健一)