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 米同時多発テロ事件から15年となる11日、湾岸諸国やイラク、シリア、パキスタンを研究する専門家らが東京都内で講演し、混乱が続く中東情勢などについて語った。会場からは日本が担うべき役割や、過激派組織に関する質問が投げかけられた。

 「9・11」後、米国はアフガニスタン、イラク戦争へと突き進んだ。千葉大学の酒井啓子・法政経学部長は「9・11後に決定的に欠けているのは、外交による解決。物理的に相手を倒す選択肢が優先され、外交が後回しになっている」と批判。「軍事優先はおかしいと声をあげることが、日本のとるべき立場だ」と主張した。

 過激派組織「イスラム国」(IS)について、日本エネルギー経済研究所の保坂修司・研究理事は、米ロの空爆により支配地域は減少したものの、反比例するように世界各地で共鳴者によるテロが起きていると指摘。「実行犯は必ずしもイスラム教に詳しいわけではなく、中枢メンバーでもない。指導部の統制外でテロが起き、危惧すべき問題だ」と話した。

 東京外国語大学の黒木英充教授は「対テロ戦争が続いていく限り、(テロや戦争は)いつどこでも起こりうる。日本は完全に巻き込まれている」と語った。保坂氏は「もはやひとごとではなく、ISやアルカイダが日本をどう見ているかをしっかりと認識する必要がある」と警鐘を鳴らした。(高野裕介)