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 明治学院大学社会学部の深谷美枝教授(55)は、障害児施設で働き、燃え尽きて退職した経験がある。福祉を志したのに、過酷な勤務に利用者を人と思えなくなるほど追い詰められた。相模原市の津久井やまゆり園の事件で逮捕された植松聖(さとし)容疑者(26)に共感はしない。だが施設での仕事は「内なるウエマツさんとの闘い」だという。

退職後、社会福祉の研究者に

 「やはり亡くなっていたか」。施設職員だった30年前に接した男性がやまゆり園に入所しており、事件で犠牲になったことを9月12日になって知った。直接知る人の被害は、わかっただけで2人。

 勤務した施設から何人もの利用者が、成人してやまゆり園に移った。他にも知っている人が犠牲になっているかもしれない。「名前が公表されていれば、皆で悼むこともできるのに」

 深谷教授は1983年に神奈川県庁に入り、横浜市の知的障害児施設で4年勤務。退職して社会福祉の研究者に転じた。

 今でも時々、当時接した人の夢を見る。1年間、1対1で付き添った重い知的障害がある少女は、夢の中で深谷さんの腕に抱かれ、うれしそうに笑う。温かな記憶に今も癒やされる。

 だが勤務は過酷だった。宿直は月に4回。疲労を解消する間もなく、未明の出勤や深夜勤務などのシフトが次々にやってくる。

 夢に出てくる少女は強度の行動障害があり、対応が極めて難しかった。テレビを棚から落として壊す。スリッパを天井に向かって投げ、電灯が割れて落ちてくる。他の利用者の耳をかみちぎったこともあった。

 道路の白線を踏むことに執着が…

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