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 世界最軽量のノートブックパソコン(PC)を開発したのは、山形県米沢市にあるNECパーソナルコンピュータの工場の技術者たちでした。この工場には、世界に先駆けてノートブックPCを完成させた実績もあります。PCの世界最大手、レノボ・グループの傘下に入りましたが、レノボCEOも米沢の成果に驚き、「ポストPC」時代でも斬新な商品を開発してほしいと期待を寄せています。

 795グラム――。

 2013年11月、世界で最も軽い13・3インチのノートブックパソコン「LaVie Z」が発売された。開発・生産を担ったのは山形県米沢市にある「NECパーソナルコンピュータ米沢事業場」だ。NECの元パソコン(PC)工場。PC世界トップの中国レノボ傘下で、11年からNECの事業を引き継いだ。

 レノボが技術革新の拠点と位置づけた「マザー工場」だ。15年に最軽量を779グラムに更新。追随するライバルはまだいない。長くPC事業に関わってきたNEC本社の大嶽充弘(おおだけのぶひろ)常務は初めて手にした驚きを覚えている。「模型じゃないの? 中にマザーボードは入っているの?」

 軽さの秘密はPC本体の素材だ。米沢の開発チームが、重さがアルミ合金の半分ほどのマグネシウムリチウム合金を素材に使う開発に成功した。リチウムを使う構想は、米沢がNEC時代の08年ごろにはあった。加工が難しい一方で素材にすれば軽量化できると考え、米沢の少数の技術者が温めていた。

 だが、NECのPC事業は採算性が悪化。09年には海外から撤退し、投資回収が見通せない研究にブレーキがかかった。リーマン・ショックに揺さぶられた。

 そこにレノボがやってきた。NECと合弁会社を作り、米沢はその下に入った。合弁会社のトップにはレノボ出身のオーストラリア人、ロードリック・ラピン氏。社内では「米沢はリストラ対象になるかも」とささやかれた。

 だが、ラピン氏は着任後、「革新的な商品開発にすぐに挑戦してほしい。目指すのは世界一だ。カネは出す」。開発部門を統括していた小野寺忠司・執行役員にとって予想外の言葉だった。世界一の軽さを目指す夢を取り戻した。

 「マザー工場」である理由は技術だけではない。

 組み立てを担う約6メートルのライン。客の注文ごとに異なるCPU(中央演算処理装置)やメモリーなど、頭脳部を支える部品を3、4人の作業員が組み付ける。月産約10万台。うち8割が、1回の注文数10台未満という多品種少量生産だ。

 00年代初め、トヨタ自動車から技術者を招いて生産現場や部品供給のムダをそぎ落として可能になった。受注から出荷までの期間は10日から3日まで縮まり、他ではまねのできない効率性を実現した。

 海外市場を再び狙う夢も一歩前進した。15年、米沢が設計した最軽量更新のPC「Lenovo LaVie Z」が米国で販売された。「レノボと組めた利点は大きい。世界初、世界一を目指す『米沢魂』が復活できたのだから」。米沢でPCを支え続けてきた小野寺氏の感想だ。

■「C型工場」、副業の独…

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