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 障害年金が支給されやすい地域とそうでない地域があり、都道府県の格差は最大6倍に広がっている。厚生労働省は医師の判断が難しい精神・知的障害を対象に細かく基準を定めたガイドラインをつくり、今月から運用を開始。格差の是正をめざす。

うつ病女性、「理不尽判断」で不支給

 うつ病と広汎(こうはん)性発達障害を抱える50代女性は2014年10月、愛知県で国民年金の障害基礎年金を申請した。翌年2月、日本年金機構の愛知事務センターから届いた決定は「不支給」。「著しい発達障害は認められず、意欲低下などの持続は睡眠障害の影響が大きい。正しく薬を処方されれば改善する」という理由だった。

 女性は今年3月まで週に4日間、事務仕事をしていた。職場で疲れ切り、帰宅すると玄関でへたり込んでしまう。食事を自分で作ることができず、コンビニに頼る。一人暮らしの部屋は家事が滞り、近所に住む母親(79)に手伝ってもらっていた。

 障害基礎年金には1級(月約8万1千円)と2級(月約6万5千円)がある。厚労省の認定基準によると、障害年金をもらうには症状が「日常生活に著しい制限を受ける程度」か、それより重いという条件がある。初めて障害の診断を受けた日から1年半後に、年金事務所か市区町村役場へ診断書などを添付して申請。それを各地の認定医が条件にあてはまるかどうかを判断し、支給の可否が決まる。

 申請書に添付した主治医の診断書には「社会的行動や対人関係で混乱しやすく、それが抑うつ、疲労感につながっていた。睡眠障害が改善せず身体的不調が持続していた」と書かれていた。女性の支援者は「なぜ認定医が主治医の診断書の内容を認めなかったのか。理不尽だ」と話す。

 女性は今年6月、改めて同じ内容の診断書を提出した。厚労省が今月から運用を始めたガイドラインでは、精神障害者は日常生活能力の程度が「身のまわりのことは経常的な援助がなければできない」場合でも1級か2級に該当するとしている。すると、今月になって2級に認定された。

 女性はいま、仕事をしていない。生活費は母親が正社員として働いて工面している。「年金があると母親を少し楽にさせてあげられる」と胸をなで下ろした。

地域差解消へガイドライン

 厚労省は昨年2月、障害年金が不支給になった割合を都道府県ごとに算出。最も高い大分県と最も低い栃木県で6・1倍の差があった。愛知県は全国平均よりやや高い。

 不支給になった障害の種別では精神障害・知的障害が67%を占めた。厚労省は、主に精神障害に関して認定医(14年4月時点で216人)の判断がばらつくと考え、精神・知的障害向けに全国統一のガイドラインをつくった。

 認定基準では「1級は他人の介助を受けなければほとんど生活できない程度」「2級は日常生活は極めて困難で労働できない程度」などと規定。ガイドラインでは、「適切な食事摂取」「身辺の清潔保持」など日常生活の能力を7項目に分け、これらが「できない」「援助がないとできない」だと1級か2級になる、というめやすを示した。

 厚労省の担当者は「診断書の自…

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