[PR]

「お前に、こんな汚いことさせたくなかった」

(息子の私がオムツを換えることを3年近く拒み続けた認知症の母が、ようやく語った本音)

 女手ひとつで7人きょうだいを育てた母が4年前、100歳で亡くなりました。

 私は2008年に定年を迎えた後、歩行もままならない母の介護で名古屋と福岡を年6回往復する生活が始まりました。ただ、母は私に食事や身の回りのことはさせても、オムツ換えだけはさせません。ずくずくになったオムツを換えようとすると激しい罵声と憤怒で威嚇。妹にはさせても、私はダメです。

 汚れたオムツを、布団の上で自分で交換するために毛布・敷布などすべてが汚れ、大変な毎日でした。しかも自分で交換したオムツをどこに隠すか、置くまで見守るしかありません。

 介護を始めて3年近く、いよいよ寝たきり状態になっても、「お前の世話にはならん」。この言葉に、さすがに私も怒り心頭。「自分で寝起きも出来ない、ましてオムツ換えもできないのに、何でミネジロウにさせない!」

 私の爆発で目覚めたのか、「お前に、こんな汚いことさせたくなかった」。母の本音が、やっと聞けました。

 「母さんは、きょうだいが小さい頃、大変な思いで育ててくれた。ミネジロウが病気で寝たきりのときは、懸命な看病をしてくれた。だから800キロ近い距離を通ってるんだよ」と言うと、やっと納得してくれました。

 以後は昼夜を問わずのオムツ換えです。介護は大変ですが、母の過去の苦労からすれば、つかの間の出来事でした。

◆名古屋市 田中峰治郎さん 68歳

     ◇

 あなたにとっての介護の記憶を、ぜひお聞かせください。ご投稿いただく際は、お名前とご連絡先(住所・電話番号・メールアドレス)をご明記のうえ、メールでお送りください。文字数の制限や締め切りはありません。匿名をご希望の方は、その旨をお書き添えください。掲載にあたり、ご投稿について記者がお話をお聞きする場合があります。

 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

 kaigotoukou@asahi.comメールする