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「一緒に暮らせないんでしょ」

(義母の最初のケアマネジャーが私に言った言葉)

 この言葉は、介護に関わる仕事をしている私が、要介護の家族を抱える側として言われて傷ついた言葉です。

 一人暮らしだった義母が認知症になり、4~5年前に介護保険の申請をしました。ヘルパーさんに来ていただくとともに、義母はディサービスに通うようになりました。

 そのときのケアマネさんから「一緒に暮らせないんでしょ」と言われたのです。びっくりしたし、嫌な気持ちになりました。第三者である赤の他人に、しかも出会ってから日も浅い人に、どうしてこんなことを言われないといけないのだろうか、と。

 夫の家族が経営する会社が倒産し、幼い子供を抱え、私は一時期、昼も夜も働きました。義母に介護が必要になったときには子供たちも大きくなってはいましたが、まだ学生で支援が必要でした。義母と一緒に住む経済力も、スペースもありませんでした。

 私も夫も仕事があるなかで、融通が利きやすい私が義母の支援をすることがほとんどでした。ただ、すすんで協力する姿勢のない夫に腹が立ち、喧嘩(けんか)したことは一度や二度ではありません。何度も離婚を考えました。私の父の入院も重なり、やることがいろいろありました。義母のケアマネさんから、いろいろ言われるたびに、私は自分の至らなさを責められているような気になったものです。

 私自身、介護に関わる仕事をしています。それでも家族としての私は、サービスを提供する事業所の方の何げない言葉に傷ついていました。家族の立場になったときに、はじめて家族の想(おも)いがわかりました。どんな家族でも苦悩や葛藤や孤独感はあります。他人には言えないこと、言いたくないこともいっぱいあります。そこを推し量れずに、支援する側のこうあるべき姿を押し付けられると、家族は傷つくのです。今までの生活歴も家族背景も詳しく知りもしないのに、したり顔で言われる言葉に疑問を感じています。

 医療や福祉関係の方は真面目な方が多いのですが、人の人生に簡単に口出しすることは不遜で傲慢(ごうまん)なことだと気づかない人もいるような気がします。

 今のケアマネさんは、必要な時だけ支援してくださり、距離を置きながら見守ってくださっている感じです。私の気持ちも楽になりました。

◆熊本県 50代女性

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 朝日新聞文化くらし報道部「介護 あのとき、あの言葉」係

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