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 生物の体の中でも、ものを作るだけでなくごみ処理や資源の再利用が大切だ。今年のノーベル医学生理学賞は、細胞が自身のたんぱく質を分解して再利用する「オートファジー(自食作用)」の仕組みの発見した東京工業大の大隅良典栄誉教授(71)に贈られる。

 細胞のたんぱく質分解の仕組みは2種類ある。一つは2004年のノーベル化学賞の対象になった「ユビキチン」と呼ばれるシステム。不要なたんぱく質を厳密に見分けて処理する。

 もう一つがたんぱく質だけでなく細胞の内容物を無差別に分解するオートファジーだ。まず、細胞内に膜が現れて、膜の近くにあるものを囲みこむ。そこに分解酵素を含む小器官が融合し、分解される。

 大隅さんは、1988年に酵母でオートファジーが起こることを発見。哺乳類のリソソームに相当するのは酵母では「ごみため」と思われていた液胞という器官。小さいリソソームではなく、大きい液胞だからこそ顕微鏡で観察でき、「ラッキーだった」と大隅さんはいう。酵母で実験したことが成功のカギだった。

 さらに約3万8千種類の突然変異体の酵母を作り、分解されないたんぱく質がたまったものを探すことでオートファジーに必要な14個の遺伝子を特定した。

 「大隅さんは仕組みの主要な部分を最初に解いた」と東京都医学総合研究所の田中啓二所長。これが自然科学系で1987年の利根川進氏(医学生理学賞)以来のノーベル賞単独受賞につながった。

 その後は、大隅さんの弟子たちが哺乳類へ研究を広げていった。その一人、水島昇・東京大教授はオートファジーができないマウスをつくった。このマウスは生後まもなく栄養不良になり、動物でもオートファジーがたんぱく質を分解し、アミノ酸の量を維持する働きがあることを示した。

 今ではオートファジーを利用した人の病気の治療法開発も進む。細胞内の掃除で異常たんぱく質がたまらないようにすると、パーキンソン病やアルツハイマー病の治療につながる可能性がある。逆にオートファジーを抑えて栄養を減らし、がん細胞を攻める臨床研究が米国で進められている。

 課題もある。オートファジーの…

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