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 日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は8日、米ワシントンで講演し、マイナス金利の深掘りなどの追加の金融緩和は現時点では必要はないとの見方を示した。一方、国際通貨基金(IMF)に助言する国際通貨金融委員会(IMFC)は、低金利やマイナス金利などの金融緩和は世界経済のリスクになり得るとし、世界的に監視が必要との声明を出した。

 黒田氏は、長期金利を「ゼロ%程度」に誘導する新政策は「主要国で初めてで野心的だ」と強調。バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長がブログで、長期金利操作は大量の国債を買わなければならなくなるリスクがあると指摘したことを紹介し、「十分理解できる」としながら、マイナス金利との組み合わせなどで調整できるとの考えを示した。

 マイナス金利の掘り下げなどの追加緩和は「現時点では必要ない」と強調。ただ、「ネガティブなショックがあれば必要になるかもしれない。必要があれば躊躇(ちゅうちょ)しない」と話した。銀行収益の悪化といった副作用については「銀行貸し出しは増えており、金融の仲介機能は損なわれていない」としつつ、「将来的には失わせ得る」と付け加えた。

 物価上昇率を「2年で年2%」に引き上げる目標を達成できなかったことによる日銀の信頼性への影響については「信頼性は目標を達成することだけによるわけではない。目標が低ければ簡単に達成できる」と反論した。

 一方、8日に出たIMFC声明は、世界の金融部門が経済の成長と開発の支えになることが重要だと前置きした上で、金融緩和策が世界経済のリスクとなる可能性にも触れ、IMFに監視を促した。来秋までとしていた加盟国の出資比率(クオータ)改革の期限を、2019年まで2年延長することも決めた。(ワシントン=鬼原民幸、五十嵐大介