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 日本を代表する広告会社の電通に対し、東京労働局が抜き打ち調査に踏み切った。女性新入社員の過労自殺をきっかけに、違法な長時間労働が常態化していた疑いが表面化し、刑事事件に発展する可能性が出てきた。今回の調査には、長時間労働の是正に取り組む安倍政権の姿勢も垣間見える。

 「自分も当然のように深夜残業をしている。過労自殺は2度目なので、労基署が入ることは意外とは思わない」。電通の中堅社員は14日、こう漏らした。

 別の30代の社員も「ここ3カ月は残業が月100時間を超える。何とかしてほしいと思っていた。労基署が入って会社が変わってくれるならいい」と話す。

 電通の労働時間の管理はどうなっているのか。広報部は、社員が始業・終業の時刻を申告し、上司が承認して管理していると説明する。

 労働基準法は、1日8時間、週40時間が労働時間の上限と定める。ただ、労使で結んだ協定を労働基準監督署に届ければ、上限を超えてもいい。電通が届けている時間外労働は原則として月50時間。この範囲で残業させるように管理職に指導しているという。

 しかし、自殺した高橋まつりさんの時間外労働は月100時間を超えていた。労基署に届け出ている時間を大きく上回る。入退館記録などをもとにした遺族側の代理人弁護士による集計では130時間に達したこともあった。

 広告業界をとりまく環境変化が働き過ぎを助長しているとの見方もある。スマートフォンの普及、オンライン動画やソーシャルメディア(SNS)の利用者の増加につれてネット広告が急増。電通の調べでは、国内の2015年のネット広告費は1兆1594億円で、5年前より49・6%伸びた。電通の売上高に占めるネット・モバイル広告関連の割合も増加傾向にある。

 ただ、条件が事前に決まる新聞やテレビなどの広告と違い、ネット広告は表示や閲覧回数などを踏まえて代金が決まる。社員の多くは「ネット広告への理解度が薄い」(業界関係者)との見方もある。

 9月にはネット広告を扱う部署で、一部の広告を契約通り掲載しないといった取引が判明。山本敏博常務執行役員は記者会見で「仕事量に対して力量と時間が足りていなかった」と、管理体制の不備を認めた。

 電通の社内では、経営環境の変化のスピードに対応しきれず、長時間労働が常態化していた可能性がある。今後の労働局の調査では、電通が労働時間の実態を正しく把握して労務管理をしていたかが焦点になるとみられる。

特別チーム「かとく」が抜き打ち調査

 本社への抜き打ち調査には、東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班」が加わっていた。通称「かとく」と呼ばれる特別チームだ。所属メンバーは労基署が行う日常的な業務はせず、過重労働が疑われる企業を集中的に調査している。ターゲットの企業を徹底して調べるのが特徴で、東京・大阪の両労働局だけにあるチームだ。

 発足したのは昨年4月。働き手…

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