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 福島第一原発事故を起こした東京電力が運営する、柏崎刈羽原発の再稼働が焦点となった新潟県知事選。米山隆一氏(49)=共産、社民、自由推薦=が、森民夫氏(67)=自民、公明推薦=を破った。県民は何を思い、票を投じたのか。

 午後9時15分すぎ、米山氏が新潟市中央区の事務所に姿を現すと、支援者ら約100人が拍手で迎え入れた。米山氏はややこわばった表情で「自分でも信じられない結果だ。これは皆さんの、オール新潟の勝利だと思っている。この勝利は第一歩。ここから一つ一つ、丁寧に全力で形にしていきたい」と勝利宣言した。続いて「再稼働の話はきっとすぐに来る」とし、安全が確認できない以上「再稼働は認められないと主張していく」と言うと、大きな拍手が湧いた。記者団には「原発反対という民意が示された結果だ」と語った。

 柏崎刈羽原発の地元の柏崎市。原発反対地元3団体の共同代表、高橋新一さん(69)は、再稼働に慎重な泉田裕彦知事の路線継承を訴える米山氏の当選を喜んだ。「県内で原発がこれほど大きな争点になった首長選はない。福島では避難指示区域の人々が5年以上たってもふるさとに帰れない。その事実を新潟県民も痛感したのだろう」

 一方、森氏を支持した原発メンテナンス会社の徳間昭則社長(59)は肩を落とした。「米山氏は泉田知事と同じく県技術委員会で延々と議論を続ける構えだ。再稼働の最終判断までのスケジュールを示してくれないと、事業の主軸を柏崎刈羽原発に置いていいのかわからない」

 原発30キロ圏内で森氏の地元の長岡市。板前の八木友樹さん(38)は「事故で住めなくなるのは嫌。米山さんは公約に再稼働反対を掲げていた」。1996年の住民投票で東北電力の原発計画への反対が6割を占めた旧巻町(現・新潟市西蒲区)で、無職亀山秀正さん(73)も米山氏に一票を投じた。「福島第一原発事故で、住民投票の時の不安は現実になった。ただ、再稼働するかどうか決めるのは地元。同様に住民投票しては」と話した。

 森氏に投票した人も、再稼働への賛否は分かれた。村上市の会社員藤田美紗さん(23)は、原発の全基停止で知人の家族が職を失った。「原発は地域の重要な雇用。エネルギーの代替策もない今、再稼働するしかない」。燕市の無職鶴本英男さん(59)は「自民党支持で森さんに入れたが、再稼働にはまだ安全とは言えない」と話した。