【動画】中国パンダ保護研究センター都江堰基地で暮らすパンダたち=冨名腰隆撮影
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 中国で「国宝」とも呼ばれるジャイアントパンダの保護政策をめぐり、中国政府が揺れている。きっかけは今秋、国際機関が定める絶滅危険度が引き下げられたことだ。頭数が増え、絶滅の危機が遠のいたことを歓迎するかと思いきや、ことはそう単純ではないらしい。

 四川省の省都・成都から北東へ約60キロの山林の中にある「中国パンダ保護研究センター都江堰基地」。10月中旬に訪ねると、32頭のパンダが暮らしていた。2008年の四川大地震後に整備されたこの基地は、東京ディズニーランドとほぼ同じ51ヘクタールの広さを誇る。病気になったり、年老いたりしたパンダを保護・飼育するための専門施設だ。

 基地の責任者である魏栄平(ウェイロンピン)教授は「パンダの生態についてはまだまだ未知な部分が多く、我々が研究すべき範囲も広い」と語る。近年はパンダを野生に戻す取り組みにも力を入れているといい、10月20日には同センターの別の基地から初めて2頭のパンダが同時に自然保護区へ放された。

 魏氏のような関係者が研究を続ける重要性を強調するのには、理由がある。

 絶滅危惧種のパンダについて、中国政府は過去、おおむね10年ごとに計4回の数量調査を実施。70年代は2400頭以上の野生パンダを確認したが、山林の開発などが進んだ結果、80年代後半は1114頭にまで減少。その後、政府は生息地の保護や繁殖研究などに努め、13年調査では1864頭まで回復した。

 こうした状況を受け、スイスに本部がある国際自然保護連合(IUCN)が今年9月、パンダを絶滅危惧種の3分類のうち、最も危険度が低い「絶滅危惧2類」に引き下げた。

 ところが、中国政府はこの発表を喜ばなかった。IUCNの判断に対し、パンダ保護政策を管轄する国家林業局は「理論上の判断だろうが、現状に照らせばパンダは依然として絶滅危惧種であり、今回の危険度引き下げは時期尚早だ」との見解を示した。

 同局は根拠として、パンダの生息群が30カ所以上に分断され、遺伝子の多様性を保つためには地域間の交流が必要なことや、地球温暖化の影響で将来的に竹林の3分の1が消失する可能性を、IUCNも指摘している点などを挙げた。

 だが、パンダが絶滅危惧種として「希少な存在」であり続けなければならない理由は、別のところにもあるようだ。

 四川省旅游発展委員会の羽欣処…

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