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 「最近、うちのおばあちゃん、食事中に突然むせることがあるんです」。そんな心配事が増えたご家庭も多いのではないでしょうか。そんな悩みは、「とろみ」で解決できる場合もあります。

 どうしてむせるのか。嚥下(えんげ)に関係するのど周りの筋肉は60代から衰え始め、70代で急に低下する。すると、食べ物や飲み物がのどに流れ込むスピードに嚥下反射が対応できなくなり、誤って隣の気道に入る。これが「誤嚥(ごえん)」で、はき出そうとする生体防御反応が「むせる」だ。

 誤嚥は肺炎につながる。西山耳鼻咽喉(いんこう)科医院(横浜市南区)の西山耕一郎理事長は「食物が肺の中まで入ってしまうと、食物と唾液(だえき)に含まれた細菌によって誤嚥性肺炎といった病気が起こります。肺炎で亡くなるお年寄りは、誤嚥がきっかけになることが多い」と話す。

 東京医科歯科大学(東京都文京区)の戸原玄(はるか)・准教授(高齢者歯科学)によると、こんなとき食物にとろみをつけると①口腔(こうくう)内で食物をまとめやすくなる②食べ物がのどにゆっくり流れ込む、などの効果があり、誤嚥防止につながる。

 片栗粉などのでんぷんであんかけ状にしたり、オクラ、モロヘイヤ、レンコンなどをすりつぶして食べ物に混ぜ合わせることにより、とろみが出る。

 最近は粉末で簡単にとろみをつけられる「とろみ剤」の改良も進んでいる。日清オイリオグループ中央研究所の桑原昌巳・主管によると、とろみ剤は①いかに短時間に②どうやって均一に③どんな食材にも、といった点が重視される。

 桑原さんは「お年寄りになったら、食べることが、一日の暮らしのなかで大きな楽しみになっていきます。ますます高齢化が進むと、自分の口で最後まで食べられるということへの注目がさらに高まるでしょう」と話す。

 健全な嚥下のためには日頃からの心がけも大切だ。戸原さんは「口内を清潔にし、反応を敏感にしておくことが大事です」。西山さんはのどの筋肉や呼吸機能を鍛えるため、「嚥下おでこ体操」=イラスト参照=やカラオケを勧めている。

<アピタル:元気のひけつ・食事>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hiketsu/(石川雅彦)