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 かつて師走の福岡をひたすら先頭で走る男がいた。ジュマ・イカンガー(59)。30年ほど前、東アフリカのタンザニアからやって来た小柄な選手は、瀬古利彦、宗茂、猛の兄弟、中山竹通ら当時全盛を極めた日本のマラソン陣と渡り合った。タンザニアの中心都市ダルエスサラームにイカンガーを訪ねた。

 インド洋に面した港町ダルエスサラームで会ったイカンガーは現役時代よりふっくらしていた。福岡は1983~96年の間に7度走った。83年、瀬古(エスビー食品)とのトラック勝負は思い出深い。

 「日本ではあのシーンがよく放送されているんだよね」。最後の直線で、それまで先頭を走り続けたイカンガーを瀬古が鮮やかなスパートで抜き去る場面だ。

 序盤からレースを引っ張り、39キロでスパート。宗兄弟(ともに旭化成)、アルベルト・サラザール(米)、伊藤国光(鐘紡)を振り切り、瀬古との一騎打ちに。「瀬古さんはすごく戦略的だった。常に後ろにいて私の視野に入らないんだ」。瀬古がいるのは、沿道の応援で分かっていたが、2人の歩調がぴったり重なって足音がはっきりせず、平和台陸上競技場に入るまでどれくらいの差があるか分からなかった。「競技場に入った時は勝ったと思った。あんなに近くに瀬古さんがいるとは思わなかった」。常に前だけを向いて走ったイカンガーらしい回想だった。

 瀬古は2時間8分52秒で4度…

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