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 熊本地震で大きな被害を受けた熊本県南阿蘇村長野地区に、300年以上前から伝わるとされる国の選択無形文化財「長野岩戸神楽」が29日夜、長野阿蘇神社で演じられた。修復された総ヒノキ造りの神楽殿で次々と繰り広げられる演目に、見物客が盛んに拍手を送り、久々に地区ににぎわいが戻った。

 毎年春と秋に演じていたが、4月の地震で125戸の半数以上が全半壊し、春の公演は断念した。約30人の保存会員には仮設住宅など地区外で暮らす人も多いが、「秋はやりたい」と実現にこぎ着けた。

 熊本市内の親類宅に避難する東海大星翔高校3年、長野恵美莉さん(17)は来春、進学のため熊本を離れる。「地震のことを忘れて無心で舞いました」。農園が壊滅状態という渡辺和徳さん(47)は「神楽は神様が世の中を明るくしてくれるストーリー。地域を照らしたい」と、懸命に演じていた。(東野真和